メモ

忘れっぽいです

アイマス映画再考

油断すると脳内で「アニマス映画のクライマックスをどうにかしたい会議」をしてしまうクセに一区切りつけるべく、ぼくのかんがえたクライマックスを書き残します。

とっても長いので以下、追記に格納。



クライマックスを効果的に見せる前提として、可奈が太ってしまった事は、あらかじめ観客に見せておくべきだった、と思います。

太った可奈を観客に見せておき、「なるほどコレでは練習に来なくなっちゃうね」と我々を納得させた上で、それでも春香が可奈を説得してみせる。アイドルを諦めようとする可奈の心情と状況を観客があらかじめ理解しておく事で、春香の説得と、可奈ちゃんの「あきらめたくない!」というセリフが、より強く響くはずです。ついでに、春香/候補生/可奈がみんなして五里霧中に迷うせいで、ほとんど伊織一人が映画の手綱を握り続ける事になる後半の強引な作劇も、多少マシになるでしょう。

現状の、部屋に散乱するお菓子などで可奈が太った事を匂わせる演出は「思わせぶり」なだけで、特に効果はあげていません。ミステリー/サスペンス系の作劇、例えば「名探偵ハルカちゃんと一緒に、どうして可奈ちゃんが来ないのか考えよう!」みたいなおはなしにしたいのであれば、チラ見せ演出もダサイなりに多少は機能するかもしれませんが、この映画の志向とは違います。
ついでに言えば、映画前半のプロデューサー渡米のチラ見せも同様に思わせぶりなだけで無意味なので、思わせぶりを重ねられて余計にイラっと来ます。
(ただ可奈に関しては、アイドルにちょっとでも酷い扱いをすると怒り出すセンシティブな人間が多いアイマスファンに心の準備をさせる意味合いがある事は理解できますが)



さて本題。

この映画のクライマックスは、春香が「後ろの席まで、ちゃーんと見えてるからねー!」と呼びかけた瞬間であり、ここに演出の力点を置くべきだ、と考えます。

gekim00.jpg

可奈と同じく白いTシャツを着て首にタオルをかけた、飾り気のない通常モードの天海春香が、がらんどうの薄暗いアリーナの中で、「後ろの席まで、ちゃーんと見えてるからねー!」と呼びかける時、「アイドル」天海春香になっている。

その瞬間、天海春香が立っている場所こそが「輝きの向こう側」であり、その光景を目の当たりにした可奈と候補生たちはステージに立つ意思を固め、765プロの仲間たちは「輝きの向こう側へ」さりげなく到達してみせる春香を当然のものとして優しく見つめる。


この場面がそのように演出されていたら、物語上の問題解決と映像的快感が同期する、映画最大の山場になっただろうと夢想します。『スター・ウォーズ EP4』で言えばデス・スター破壊シーン、『ジョーズ』で言えば "Smile you son of a bitch!" です。
加えて、「輝きの向こう側へ」というタイトルまで回収できたのなら、全身総毛立つ瞬間となった事でしょう。

しかし実際の映画では、可奈や候補生たちは春香の長々とした「みんなとの出会いがあって今がある」的説法によって説得され、765プロメンバーは「大事な場面だから全員喋らせておきましょう」という無駄な配慮のもと要らぬ台詞を喋らされて問題解決シーンは更に弛緩し(ただ、ここの千早が何も言わず天を仰ぎ見る描写はスキ)、「輝きの向こう側」に関しては川辺のシーンで「光の向こうに云々」と曖昧模糊な言葉でお茶を濁されてしまいます。



とはいえ、夢想の中では「輝きの向こう側」もどうにか出来ますが、現実として、そんな抽象的イメージを映像するのは至難の技です。

ここからは現実的に、この映画のクオリティで「後ろの席まで、ちゃーんと見えてるからねー!」のシーンをマシにする術を考えます。
(僕の脳内「アニマス映画のクライマックスをどうにかしたい会議」は延々この議題を繰り返しており、昨年、MADイベントのチルアウト枠に投稿したMADも、このシーンを現実的なレベルでどうにかしようと編集ソフトで弄っているうち全く別物に変形した結果の産物です)

「後ろの席まで、ちゃーんと見えてるからねー!」の前後がどういったショットで構成されているか、というと、

1. 可奈の肩なめで春香を捉える
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2. ステージ前方に春香が駆け寄り「後ろの席まで〜」と叫ぶ
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3. ステージ遠景
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4. 「春香ちゃん」と呟く可奈
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と、なっています。

可奈の肩なめで春香を捉える、オーソドックスなだけに力強いショット1は、機敏な感情を丁寧にすくい取る表情の演技も含め、この映画で最も良いショットだと思います。

春香が花道を駆け「後ろの席まで〜」と呼びかけるアクションを、カットを割らずに一気に見せるショット2も良い。

大問題なのがショット3
この映画で一番大切な瞬間、可奈と観客が最も「アイドル」を目にすべき瞬間、画面に映し出されるのは豆粒のようなサイズの春香たちです。観客との距離を縮める目的で発せられる「後ろの席までちゃんと見えてる」というセリフに反して、観客とアイドルの遠さを明らかにしてしまう。春香の言う「後ろの席」からの視点を愚直に画にしたのでしょうが、完全に逆効果なショットです。

ショット4。天海センパイが「私の憧れる春香ちゃん」になる瞬間を目にした可奈のリアクション。可奈の上半身キッチリ入れる程度にカメラ引いた方が僕好みですが、アニメーションで的確にリアクションを伝えるためには、この程度の近さは必要かもしれません。



ショット3以外は適切だと思います。

大問題のショット3をどうすべきか。

この映画の主軸を「春香と可奈」とするのであれば、ショット3は、可奈から見た春香のバック・ショットになるのがセオリーでしょう。

こんな感じ。
gekim05.jpg
春香のポーズは呼びかけている時の体勢で、どこに立っているか分かるよう足元までしっかり見えるショットの方が良いのですが、適切な画が無かったのでひとまずコレで。
このカットまでアリーナが観客で埋まるイメージのショットを禁じておいて、この春香の背景で初めて、アリーナがサイリウムいっぱいになっているイメージを使うのも、陳腐ではありますが分かりやすく「輝きの向こう側」感が出るのでアリかもしれません。少なくとも豆粒アイドルよりはマシでしょう。

1. 可奈の肩なめで春香を捉える
gekim01.jpg

2. ステージ前方に春香が駆け寄り「後ろの席まで〜」と叫ぶ
gekim02.jpg

3. 可奈から見た春香のバック・ショット(仮)
この仮ショット3じゃあまりにも締まりが無いけど、本当はもっと春香がキラキラしてると想定して
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4. 可奈のリアクション・ショット
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ショット3を可奈から見た画にすると、ショット4は切り返しの画(リバース・ショット)になります。
この切り返しこそが映画です。
何故かと問われると「そういうものだ」としか言いようがないのですが、それなりの理屈をつけるのであれば、この切り返しによって「映画/スクリーンに映る人物/観客が同調する」という事が重要なのだと思います。

ショット4がスクリーンに映し出された時、映画と、可奈ちゃんと、映画を見ている私たちは、共に「今まさにアイドル天海春香を目撃した」という状態になる。
この同調が、映画と観客の間に甘美な共犯関係を生みます。
それが出来たのなら、現状「アニマス2時間スペシャル」な『劇場版アイドルマスター』も、それなりに映画らしくなるのではないでしょうか。


(ただし、ショット4が可奈に寄り過ぎると、同調ではなく、「観客のみなさまも可奈ちゃんと同じリアクションをしてねー」と品のない感情移入を促す映像になりかねません。ある種の映画好きが『ニュー・シネマ・パラダイス』を嫌うのは、検閲されたフィルムを見るクライマックスで目に涙を浮かべたジャック・ペランをこれ見よがしに映すショットに、そういった性質を感じ取るからでしょう。でも世の中『ニュー・シネマ・パラダイス』好きな人の方が圧倒的多数なので
gekim06.jpg
ショット4は、この号泣寸前の可奈に差し替えても良いかもしれません)



ここまで大きな事を言っておきながらナンですが、動画編集ソフトで実際にショット3を春香バック・ショット(仮)に変えて眺めてみたところ、とても地味だった、という事は正直に告白しておきます。編集をどう工夫しようと、やはり画そのものが弱いとダメですね。
一応MAD屋らしくMADで、ぼくのかんがえたクライマックスを表現するとこうなります。


[ 2017/04/07 03:21 ] 好きなアイマス動画 | TB(0) | CM(0)
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