メモ

忘れっぽいです

『幕が上がる』『ドラえもん のび太の宇宙英雄記』

・『幕が上がる
http://www.makuga-agaru.jp

監督:本広克行
脚本:喜安浩平(『桐島、部活やめるってよ』)
原作:平田オリザ
出演:ももいろクローバーZ、黒木華



良くも悪くも、本広克行監督らしい仕上がり。
この監督の悪癖である、常に画面に動きがないと死んじゃう病は、今回も健在。カメラは常に動き続け、演技演出は常に大袈裟。「常に面白い映画」であろうとして、メリハリを失い単調になる、いつもの調子です。

おかげさまで前半はなかなか退屈だったのですが、ももクロ演じる主要キャラクターの立ち位置が定まった辺りからは、本広監督の良さである「軽み」が功を奏し、とても楽しめるアイドル映画になっていきました。


この映画はとにかく、深刻になりません。物語は主人公が屈折を抱えた状態で始まりますが、あっさり演劇の神様が手を差し伸べてくれますし、演劇部に訪れそうになる危機は勝手に解決されていきます。
ももクロと黒木華の行動をひたすらに肯定し続けるこのヌルさが、恐れや限界を知らずに突き進める「青春時代」特有の無敵感を生み出していて、とても気持ち良かったです。

また、登場人物は成長もしません。あくまで自分の資質に気づくだけです。
二時間という時間は、複数の人物の成長を描くには短すぎます。成長を描いて鈍重になるよりは、早々に資質に目覚めて颯爽と活躍するキャラクターを写し取っていく。アイドル映画として、とても正しい選択だと思います。

そして何より、エンドクレジットが素晴らしかった。アイドルたちが主題歌に合わせて、舞台となった学校内で踊ったりおどけたりする、アイドル映画の王道エンドクレジット。
映画本編での演劇モードの彼女たちとはまるで違う、「ももクロ」としての彼女たちの魅力に溢れた映像が流れ出すと、異化効果でついつい泣いてしまうのは、僕が大林版『時をかける少女』が好きだから、というのもあるでしょうが、それを置いても、本編中の彼女たちの演技力の凄みに改めて気づかせてくれる、良いエンディングでした。

他の監督がやれば、もっと奥行きのある映画になっただろうとも思いますが、アイドル青春映画としては本広克行監督で大正解。本広監督映画としても、資質と素材がバッチリ合った、ベストの一作なのではないでしょうか。



・『ドラえもん のび太の宇宙英雄記
http://doraeiga.com/2015/

監督:大杉宜弘
脚本:清水東
ゲスト声優:井上麻里奈、能登麻美子
芸能人声優:市村正親、田中裕二、観月ありさ



近年のドラ映画は良作続きで、(少なくとも現行声優ドラを好意的に見ているタイプの)オトナファンの多くから高評価を受けていた印象があります。が、おそらく今回は厳しい評価のオトナが増えるのではないでしょうか。

今回は正直、脚本がイマイチ。ストーリーではなく、シーンの瞬発力で強引に約100分の尺を繋いでいる映画です。
明確に幼年層向けに作られており、楽しいシーンやアツいシーンがちょくちょく挟み込まれるのでお子様のリアクションは良好ですが、エピソードを積み重ねるウェルメイド寄りのドラ映画好きなオトナには物足りないかと思われます。


個人的には、ドラえもんのお約束が散りばめられたエピソードを乱雑に繋ぐスタイルが面白く、大袈裟に言えば『狩人の夜』的な良さを感じました。

狩人の夜』は、グリム童話にも似たシンプルな物語を、その場その場で移り行くチグハグな演出スタイルで描いた結果、メルヘンチックなのに凄まじくサスペンスフルに仕上がった、トリュフォー曰く「映画的文体の不統一」が魅力の映画です。
『のび太の宇宙英雄記』の場合は「映画的文法の不統一」というよりは、「脚本の方向性の不在」ゆえにチグハグになっているのですが、結果、ドラえもんらしい安心感とスラップスティック感が同居した、不思議な魅力を生んでいます。

脚本の弱さは、映画を「物語と伏線」ではなく、「行為の反復」で構成させる、映画的な面白さの原動力にもなっていました。
特に「のび太のズボンネタ」の反復によるギャグシーンは秀逸で笑ってしまったのですが、その後さらに「のび太の井戸落ち」でその行為を再反復して物語の推進力に利用する演出は見事で、唸りました。


ゲスト声優、井上麻里奈は今まで聞いた中で一番のイイ男声を出していました。ファンは一聴の価値ありでしょう。ドラ映画は相変わらずゲスト声優の使い方バツグンですわ。能登麻美子はピーピー言うマスコットキャラで、ちょっと珍しい役ですが、能登麻美子感は極薄。
芸能人声優は全員上手いっす。田中裕二は『モンスターズ・インク』のマイク役とは違った味を出していて流石。初声優業の観月ありさも違和感ナシ。
[ 2015/03/14 04:18 ] 映画鑑賞記 | TB(0) | CM(0)
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Author:かりふら