メモ

忘れっぽいです

『楽園追放 Expelled from Paradise』『悪童日記』

・『楽園追放 Expelled from Paradise
http://rakuen-tsuiho.com

監督:水島精二
演出:京田知己
脚本:虚淵玄
音楽:NARASAKI
出演:釘宮理恵、三木眞一郎



丁寧に丁寧に『幼年期の終り』バリエーションの物語を進めていく、王道SF。あまりにも丁寧でベタに進行するその律儀さは、いささか窮屈さを感じさせるほどです。

しかしクライマックス直前、日本の娯楽物語における王道要素である漢字2文字の「あの単語」がキーワードとして登場すると、映画は抑圧から解き放たれ、一気に躍動を始めます。

SFの王道と、日本娯楽の王道。
その二つの王道を、適切なリリシズムを備えた演出と、小惑星探査機はやぶさや『ゼロ・グラビティ』以降の時代に相応しいビジュアル、そしてジャパニメーション特有の気恥ずかしさをちょっぴり加えて、堂々と見せつけるクライマックスは圧巻です。
特に、激しい戦闘の中で主人公がほんの一瞬だけ垣間見る光景は、「世界は美しい。やがて別れねばならぬとしても、なぜ出発を早める必要があるだろう?」という『幼年期の終り』の印象的な一節を思い出させてくれる、ステキな映像演出でした。割と言葉で多くを語る映画ではありますが、肝心なところをしっかり映像に委ねているので、説明過多を感じることはありません。


クライマックスに向けてひたすら溜めて、溜めて、そして爆発させる。かつての東映が高倉健主演作で見せていたあの快感を、今は東映アニメーションの釘宮理恵主演作で味わえるのだから、良い時代です。
高倉健が東映任侠映画でいつも同じ様なキャラクターだったように、釘宮理恵がいかにも「The くぎゅ」なキャラを演じているのも、類型的である事を恐れないプログラムピクチャーらしさがあって、とても好ましく思います。


なんて事を、鑑賞後に考えていた帰り道に、高倉健死去のニュースが入ってきて驚きました。『昭和残侠伝 死んで貰います』か、『緋牡丹博徒 花札勝負』が見たい気分。



・『悪童日記
http://akudou-movie.com

監督:ヤーノシュ・サース
撮影:クリスティアン・ベルガー(『白いリボン』)
出演:アンドラーシュ&ラースロー・ジェーマント、ピロシュカ・モルナール、ウルリッヒ・トムセン



隣の家の少女』なんかもそうだと思うけど、ハードコアな文字物語を誠実に映像化すると、衝撃的であるはずの描写がどうしても凡庸になってしまうから不思議。あとこの小説の場合、ラストは具体的な映像だとどうしても、ちょっと違っちゃうんだよな。映像的な飛躍があると良いんだけど、やりすぎるとキューブリックの『シャイニング』みたく原作と別物になっちゃうから、難しいところ。

とはいえ、これ以上無い、というくらいに、すんごく良く出来た映像化。原作未読なら、結構な衝撃を受けるんじゃないでしょうか。
[ 2014/11/18 21:57 ] 映画鑑賞記 | TB(0) | CM(0)
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Author:かりふら