メモ

忘れっぽいです

『誰よりも狙われた男』『ある優しき殺人者の記録』

・『誰よりも狙われた男
http://www.nerawareta-otoko.jp

原題 "A Most Wanted Man"
監督:アントン・コービン(『ラスト・ターゲット』)
原作:ジョン・ル・カレ(『ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ』)
脚本:アンドリュー・ボーベル(『復讐捜査線』)
撮影:ブノワ・ドゥローム(『欲望のバージニア』)
出演:フィリップ・シーモア・ホフマン、レイチェル・マクアダムス(『パッション』)、ウィレム・デフォー、ニーナ・ホス(『ブラッディ・パーティ』)




主要スタッフの過去作品を眺めているだけで、その男臭さに嬉しくなってしまいます。

ひたすら地味なのに、ずっと緊張感が持続する激渋ハードボイルド『ラスト・ターゲット』。
原発問題に揺れる2011年7月に、放射能汚染ミルク大活躍の映画を公開したガッツ溢れる配給会社の健闘むなしく、埋もれてしまったメルギブ主演の傑作リベンジ・アクション『復讐捜査線』。
ハリウッドの豪華キャスト陣が東映プログラム・ピクチャーに出ているような、禁酒法時代のアメリカ南部の片田舎で密造酒稼業に勤しむアウトロー三兄弟を描くヤンチャな良作『欲望のバージニア』。


そんなメンツによって作られた『誰よりも狙われた男』は、アントン・コービン監督らしい緊張張り詰める演出と、国益尊重で法律度外視な『外事警察』的ダークヒーローサスペンスが良いバランスで相まった、傑作です。

監督の前作『ラスト・ターゲット』は、雰囲気は良いけど地味過ぎて、僕には退屈な映画だったのですが、今回はスリリングなストーリーのお陰で気持ち良く映画に乗れました。

登場する女性陣も魅力的。佳作百合ヴァンパイア映画『ブラッディ・パーティ』で吸血鬼集団のボスを演じたニーナ・ホスは、気怠くセクシー。デ・パルマ監督作『パッション』では妖しく、現在公開中『アバウト・タイム 愛おしい時間について』ではキュートに、変幻自在の愛らしさを見せるレイチェル・マクアダムスも、気怠くキュート。
僕はもう目の下にガッツリ隈を作っていそうな疲れたニーナ・ホスを眺めているだけで幸せこの上ないのですが、男性登場人物も含めて、誰も彼もが疲れているのが実にエロくて、ドライな物語と画面に色気を与えています。


そして言わずもがな、フィリップ・シーモア・ホフマン最後の主演作である、という事実が、どうしても本作を特別な物にしてしまいます。
ひたすらに冷徹でいた映画演出とフィリップ・シーモア・ホフマンの演技が終盤、突如感情的になり、弱さを見せる瞬間。普通の映画であればセンチメンタル過ぎて、甘くダサくなりそうなその瞬間に胸を締め付けられるのは、もっと彼の演技が見たいのに、既にこの世に居ないからに他なりません。



・『ある優しき殺人者の記録
http://satsujinsha-kiroku.jp

監督、脚本、撮影、出演:白石晃士
出演:ヨン・ジェウク、キム・コッビ(『息もできない』)、葵つかさ、米村亮太郎




白石晃士監督作を、見ていないのであればこの映画は新鮮な驚きを与える傑作になるだろうし、見ているのであれば、その数が多ければ多いほど、精巧に織り上げられたセルフオマージュ(それと、監督が影響を受けたと公言している『ありふれた事件』へのオマージュ)の美しき結実となるラストの感動が増す事でしょう。

僕はもう、最後は泣けて仕方がなかったし、同時に、本当に面白い映画を見た喜びで笑顔を抑えられませんでした。スタッフロールを見ながら、僕は泣き笑いの、とても気持ち悪い顔をしていた事でしょうが、仕方がない。だって大傑作なんだもの。
[ 2014/10/20 07:30 ] 映画鑑賞記 | TB(0) | CM(0)
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Author:かりふら