メモ

忘れっぽいです

『アバウト・タイム 愛おしい時間について』

・『アバウト・タイム 愛おしい時間について
http://abouttime-movie.jp

監督、脚本:リチャード・カーティス(『ラブ・アクチュアリー』『パイレーツ・ロック』)
出演:ドーナル・グリーソン、レイチェル・マクアダムス、ビル・ナイ



タイムリープ恋愛モノは不思議と、どこかしら不健全で、その不健全さが魅力になる事が多い様に思います。

僕のオールタイムベストの一本、『ある日どこかで』はその最たる物。
絶世の美男美女による恋愛映画でありながら、その実、構造は「暗い自室に閉じこもって夜な夜な独り、ビデオでお気に入りのホラー映画を繰り返し見ているオレ」と同じ、という不健全さがあり、だからこそ『ある日どこかで』は、僕みたいなタイプの人間まで虜にするカルト映画となっています。


アバウト・タイム 愛おしい時間について』は、監督脚本リチャード・カーティスらしい、そんな不健全さを感じさせない、むしろ健全な、「一日一日を大切にしましょう」という日常賛歌が、本筋としてあります。

しかしその本筋の周囲は、秘かにクレイジーです。
本筋である主人公と彼女の関係性は『耳をすませば』の如く清らかで健全ですが、そのウラにある主人公と家族(主人公と父親、主人公と妹、伯父と父親)の間には近親相姦を匂わす程の異常な親密さがあります。

特に、主人公一家と同居していながら物語に全く関係してこない精神薄弱気味な伯父の奇妙さは突出しています。コメディリリーフとしては弱いし、主人公の友人とキャラが被っている、物語効率を考えたら削って然るべき登場人物が、不思議な関係性を伴って、映画の片隅でずっとヘラヘラ笑っている。その奇妙さが、この映画を、ただ単に健全な人生啓蒙映画に終わらせない魅力を作っているように思います。

下世話極まりない例えですが、カーペンターズが健全な笑顔で素晴らしいポップソングを生み出しながら、バックステージでは近親相姦をしている様な不穏さがあります。ドス黒い闇があるからこそ、明るさが際立つ。そんな映画です。


といった、穿ち過ぎな視点はさておいて、この映画を見た誰もが心奪われるであろう、主人公と彼女の健やかなる恋の経過を地下鉄のワン・シチュエーションで見せ切るシークエンス、そして嵐の結婚式は、素直に名シーンです。
心情描写として雨を降らせる、なんてダサい事はせず、最大の幸福の日にこそ祝福の大嵐を吹かせるリチャード・カーティスの演出、とても気持ち良い。
前作『パイレーツ・ロック』も綺麗にまとまった見事な出来だったのに、本作で監督業やめちゃうのは勿体ないなぁ。
[ 2014/09/28 10:05 ] 映画鑑賞記 | TB(0) | CM(0)
コメントの投稿












管理者にだけ表示を許可する
プロフィール
Author:かりふら