メモ

忘れっぽいです

『野のなななのか』『ファイ 悪魔に育てられた少年』『ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う!』

・『野のなななのか
http://www.nononanananoka.com

監督、脚本、編集:大林宣彦
出演:品川徹、常盤貴子、寺島咲、安達祐実



遂に、遂に、永遠のロリータ安達祐実が、大林監督作に出演。しかも、16歳の少女役として。

彼女は、『廃市』の小林聡美の如く美しさと哀しみを湛えた存在で、原田知世版『時をかける少女』の芳山和子のように、神秘的で、極めて処女性が高く、それでいてとんでもなく穢され、更に『HOUSE』を思い起こさせる特殊効果まで施されます。

大林映画に時折登場する、「その映画の象徴」として立ち現れるタイプのヒロイン。本作の安達祐実は、そんな象徴型大林ヒロインの集大成に見えました。


その安達祐実のみならず、今回の映画は各所に、(前作では影を潜めていた)大林監督作らしさが感じられます。
特に、変態性が、今回はモロに噴出。世間一般からすると憚られるカタチの愛が、本作には満ちています。主要登場人物全員が倒錯的な愛に身を投じており、不倫がとても健全に見えてくる映画となっています。

そして、大林監督らしい、裸への固執。どんな状況にあっても、脱がしたくて仕方がない。安達祐実を、常盤貴子を、脱がしたくて仕方がない。
表面だけ見れば、それはタダのエロ親父ですが、実際に映画を見ると、脱がしたいという感情が如何に切実で、必要で、感動的であるか、ビンビンに伝わってきます。


前作『この空の花 長岡花火物語』は、時代に突き動かされて生まれた映画、としか言いようの無い凄みがありました。
野のなななのか』もまた、時代に突き動かされて生まれた映画ですが、そこに「我」というクサビを必死に打ち込もうとする、監督/スタッフ/キャストの感動的な足掻きも加味されています。時代や世界に立ち向かう、今回も傑作です。



・『ファイ 悪魔に育てられた少年
http://www.hwayi-movie.net

監督:チャン・ジュナン
武術監督:チョン・ドゥホン(『ベルリンファイル』)
出演:ヨ・ジング、キム・ユンソク(『チェイサー』『10人の泥棒たち』)



5人の犯罪者オッサンに育てられた主人公の、とっても分かりやすい、父親殺しな通過儀礼映画。分かりやすいけれども、ドラマティックにお膳立てされた父親殺しの舞台に、燃えと、男泣きを禁じえない一作。

主人公ファイの「良心」の源となるヒロインが妙に説得力薄いので、いっその事、母親をヒロインに据えて、思いっきり父親殺し+母親略奪なエディプスコンプレックス話にしちゃえばもっと楽しそうな気もしますが。


とは言え、親父共はみんな魅力的で、格闘はチョン・ドゥホンがアクション・コーディネートしているだけに所作の一つ一つが格好良い、とても魅力的な出来。

特にグッと来たのが、カー・アクション。正直、最近のアクション映画の車シーンは『ドライヴ』の影響か知りませんが、無駄に長く、退屈なモノが多い印象があります。
そこへいくと『ファイ』は、カー・アクションの最中にも、映画のテーマである父親殺し/父親超えの要素を盛り込む、見事な演出を展開。ダラダラ長くもならないし、位置関係も分かりやすいし、とても良かったです。今年ベストのカー・アクションになりそう。



・『ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う!
http://www.worldsend-movie.jp

監督:エドガー・ライト
脚本:エドガー・ライト、サイモン・ペッグ
出演:サイモン・ペッグ、ニック・フロスト



ゾンビ』を徹底的に愛し、パロディ化した大傑作『ショーン・オブ・ザ・デッド』。
アメリカ産警察/バディ映画を見事イギリス流に翻訳し(おまけに石坂金田一的土着因習要素まである)、涙と笑いと拍手が一斉に巻き起る素晴らしい瞬間を作り上げた大傑作『ホット・ファズ』。
そんな大傑作を連発してきた、エドガー・ライト、サイモン・ペッグ、ニック・フロストのゴールデンバランス三人組による最新作。

今回は、みんな大好き『ゼイリブ』を軸に、ジョン・カーペンター監督作を徹底オマージュ。あの「プロレス」感すら、面白くアレンジして再現してみせる、この三人組のいつものスタイルが炸裂。

しかし、前二作と、その後のサイモン・ペッグ&ニック・フロスト主演でグレッグ・モットーラ監督の『宇宙人ポール』に比べると、英国人視点だからこそ生まれる面白味に欠ける気はします。
[ 2014/05/18 11:54 ] 映画鑑賞記 | TB(0) | CM(0)
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Author:かりふら