メモ

忘れっぽいです

『テルマエ・ロマエ2』『グランドピアノ 狙われた黒鍵』

・『テルマエ・ロマエ2
http://thermae-romae.jp

監督:武内英樹
出演:阿部寛、上戸彩、北村一輝、竹内力、宍戸開、笹野高史、市村正親



前作の成功により、「風呂エクスプロイテーション映画」という唯一無二のジャンル映画に徹する事が出来るようになった二作目。

とにかく風呂を魅力的に撮る、そして日本文化を誉めそやす、この二点を徹底して観客を上機嫌にさせるのが、映画版『テルマエ・ロマエ』の本分だと思います。
で、本作の、特に前半は、その二点の徹底のみに力点が置かれた、完璧な風呂映画っぷりを発揮していました。


特に草津温泉シーンは白眉の出来。草津温泉を「現実には存在しない理想郷」が具現化した地上の楽園、として映し出してみせた演出はお見事。

前作でテンポを落とす要因となっていたヒロイン上戸彩の物語を削ぎ落とし、主人公のガイド役に専念させたのも良い判断。おかげで主人公がガンガン日本文化に驚愕し、誉めそやしてくれるので、観客は常時ゴキゲン状態で映画を見ていられます。

上戸彩の削ぎ落とし、という点ではサービスショットも同様でした。せいぜい背中を見せるのが限界の上戸彩は早めに切り上げ、ケツまでしっかり見せてくれる阿部寛のイイ身体はジックリと見せる。これも良い判断だと思います。


終盤、シリアス展開になって失速するのは前作と同じ。無駄にドラマや感動を盛ってしまう大作邦画の悪いクセがモロに出てしまっています。それでも、随所にギャグ要素を入れている分、凡庸な邦画よりはだいぶマシ。



・『グランドピアノ 狙われた黒鍵
http://grandpiano-movie.jp

監督:エウヘニオ・ミラ
出演:イライジャ・ウッド、ジョン・キューザック



無能な犯人たち。(一応、本編中で言い訳してるとはいえ)もっと良いやり方があっただろ!と観客に思わせてしまう犯行計画。そもそもコンサートの設定自体がどうかしている。
などなど、真面目にミステリーとして見たら、穴だらけの酷い出来、と言われる事間違いナシ。

にも関わらず、僕は、この映画が愛おしくて仕方ありません。
だって、「デ・パルマ(そして彼が好きなヒッチコック)みたいな映画作りたい!」という初期衝動演出だけで、最初から最後まで走り抜いてくれるんだもん。


流れるようなカメラワークの長回し、唐突に主人公を照らす赤いライト、ぐるぐる回るカメラ、スプリットスクリーン(意表を突いた導入が巧み)、、、ああ、如何にもデ・パルマな映像演出。見ているだけで頬が緩みます。
狙ってやってるのか分かりませんが、主人公の嫁が90年代以降のデ・パルマ女優っぽく、嫁の友人が80年代以前のデ・パルマ女優(つーかナンシー・アレン)っぽいのも、ポイント高いです。

また、リアルタイムで映画が進行する(所々端折ってるけど)『ロープ』的作劇や、ラストの演出、潔いマクガフィンの説明放棄っぷりは、思いっきりヒッチコックでした。
そのヒッチコックっぽさが、ヌーヴェルヴァーグ系シネフィルではなく、あくまでデ・パルマ経由のアメリカンスタイルなのが好感持てます。


話は変わりますが、僕、80年代の手塚眞映画が大好きなんです。

かつて手塚治虫や、手塚治虫に憧れた漫画家たちは、自身が面白いと思う映画や小説を、今で言えば丸パクリと言われるくらい大胆に引用しました。引用し、娯楽作品の中に消化する事で、その面白さを更に多くの人に伝えていった。

80年代の手塚眞監督は、それを映画の中でやっていたのです。
大好きなデ・パルマ風演出をてらいなくやってしまう、面白い物は何だって使ってやろう、という貪欲な姿勢は、トキワ荘時代の漫画や、日本のパンク、ヒップホップの黎明期のような、新しい物が生まれる時代特有のワクワク感を生み出していました。

しかし残念ながら、手塚眞監督は90年代以降、映画においては「娯楽作品」を作る事を止め、実験的な方向にシフトしてしまいます。久しぶりにエンターテイメントに戻ってきた06年の『ブラックキス』には最早、かつての貪欲さは無く、小手先の「新しさ」を狙ってダダ滑りしている虚しさだけが漂っていました。

俺が好きだった頃の手塚眞監督がそのまま映画を作り続けていたら、『ブラックキス』はきっと、話の筋は無茶苦茶でも映画のダイナミズムで突っ走る佳作サスペンスになっていたと思います。この『グランドピアノ 狙われた黒鍵』のように。


という事で、80年代の手塚眞映画が好きな人、もしくはデ・パルマのフォロワー映画が好きな人は、気に入る映画だと思います。個人的にはかなりの拾い物でした。



・イメージフォーラム・フェスティバルで、『フルスタリョフ、車を!』のアレクセイ・ゲルマン監督の遺作となった『神様はつらい』を上映してたのね。
http://imageforumfestival.com/program_n
監督の特集上映でも無い限り、もう映画館でやらないだろうなぁ。ソフト化も微妙なところ。東京に居ないと、色んな事を見逃してしまうわ。
[ 2014/05/05 21:34 ] 映画鑑賞記 | TB(0) | CM(0)
コメントの投稿












管理者にだけ表示を許可する
プロフィール
Author:かりふら