メモ

忘れっぽいです

2015年見た映画、旧作

印象に残った作品をメモ。2014年以前の旧作、あとゲームとアニメ。


荒馬と女(1961年、米、ジョン・ヒューストン監督)
ハッピー・エンドの後、男と女はどうなるのだろう。かつてあれだけ感情をぶつけ合った二人が、もはや何にも情熱を燃やす事無く、ただ日々をやり過ごすように平穏に生きるのだとしたら、それは生きながらに死んでいるのと何が違うのか。映画スターは、セルロイドの英雄は、人々の記憶から消え去るまで、緩慢な自殺を繰り返す無間地獄を生かされ続けるのか。
そんな事を思わずにいられない、ハッピー・エンドなのにどんよりとした後味を残すモンロー映画。何も知らずに見てどんよりした後で、マリリン・モンローとクラーク・ゲーブルの遺作だと知って更にどんよりしました。コレ、見方によっては「喚き散らすマリリン・モンローが男たちを去勢していく恐怖映画」になるよなぁと思って、もひとつどんよりしました。


モノリスの怪物 宇宙からの脅威(1957年、米、ジョン・シャーウッド監督)

砂漠に落下した黒曜石を思わす隕石。それは触れた人間を石化させる性質を持っていた。さらに隕石は水に濡れると巨大化。際限なく拡散していく、、、という事は、このままでは街が危ない!
という楽しい設定をオーソドックスな語り口で見せてくれます。今年は50年代の低予算SFを色々と見て、そのキッチュさを楽しんでいたのですが、本作はストレートに良く出来た上質SF。オチも良いんだ。


Village of the Giants(1965年、米、バート・I・ゴードン監督)

天才少年(演じるは子役時代のロン・ハワード)が生物を巨大化させる薬を発明。最初は猫やアヒルが大きくなる程度だから良かったものの、アタマの悪い若者たちが巨大化し、街を支配しようと企んでサア大変。というお話をひたすら牧歌的に描く微笑ましい映画。
巨大アヒルがダンスホールで音楽に合わせてお尻フリフリしたり、巨女がおっぱいの谷間に村人を挟んで踊ったり、我々の思う「アタマ悪い映画」を徹底実践してくれます。
監督は、その映画の多くが生物巨大化モノなので好事家から「Mr. BIG」の愛称で知られるバート・I・ゴードン。『戦慄!プルトニウム人間』みたいな秀作も、本作のようなポンコツ度数高めな作品も、等しく楽しく撮ってる感じが嬉しいです。


マップ・トゥ・ザ・スターズ(2014年、米加仏独、デヴィッド・クローネンバーグ監督)
高慢で気分屋、神経過敏で自意識過剰、オーディションに落ちてエージェントに当たり散らし、幻覚に悩まされ心理士に頼りきり。そんな、庶民の考えるハリウッド糞セレブをストレートに映像化した現在形ハリウッド・バビロン。七面倒な映画が二作続いたクローネンバーグですが、今回は分かりやすく悪趣味で笑えるサタイアです。
本作を見た誰もが思う事でしょうが、恥も外聞もないクソセレブを演じるジュリアン・ムーアの演技が凄いです。それを吹き替える日本語吹替版の山像かおりの演技も凄いです。


自由が丘で(2014年、韓、ホン・サンス監督)

韓国の地で、不慣れな英語を使いながら会話を楽しむ日本人加瀬亮と地元民たち。
「時間」から逃れられない表現媒体である映画で、敢えてランダムに時系列をシャッフルし「時間」にあがなう構成で「時間」と戯れるホン・サンス監督。
登場人物にも映画自体にも不自由を仕掛け、不自由があるからこそ生まれるコミュニケーションを朗らかに肯定する。何も美化しないし、卑下もしない。この映画と観客の間にある不自由を、楽しむも拒むも貴方の自由。


釈迦(1961年、日、三隅研次監督)
東映アニメーションの『手塚治虫のブッダ』は酷い映画ですが、動物映画としてはなかなか愉快だったので、大映製作70mmフィルム大作のコイツはどうか、と見てみたら、やっぱり動物映画で嬉しかった一作。クストリッツァ映画ばりに自然な演技を魅せるシカちゃんや、映画内の最重要エピソードとなるゾウさんの静止芸に頬が緩みました。
とはいえ『手塚治虫のブッダ』と違って、映画自体は真っ当に面白くて、撮影所システムが生きていた時代の映画の強さを感じさせます。シッダールタが悟りを開くまでを前半で描き、後半はその教えを信じる者や敵対するダイバダッタのエピソードをオムニバス的に展開。おかげで重厚すぎない、軽やかな足取りの娯楽大作となっています。


妻たちの性体験 夫の目の前で、今・・・(1980年、日、小沼勝監督)
日活ロマンポルノはほとんど見ていなかったのですが、動画配信サイトU-NEXTが配信開始してくれたので幾つか見る事が出来ました。『一条さゆり 濡れた欲情』などの有名作はもちろん素晴らしかったのですが、思いのほか忘れ難い印象を残したのがコレ。
妻が他人に犯されてるの見ると興奮します、という映画。クライマックス、突如現れた体育会系学生の集団が奥様をワッショイワッショイと担ぎ上げて行為に至るシーンのお祭り感覚が面白すぎます。それを見る旦那の、ブリーフ越しに浮き出る勃起チンポのキュートなフォルムも笑う。


リュウグウノツカイ(2014年、日、ウエダアツシ監督)

女子高生集団妊娠事件を描く、と言われると大仰な問題提起でもしそうに思えるけど、実際それを映画にしてみたところで、何が分かるでも、何が変わるでもない。ダルデンヌ兄弟の映画のように、観客が勝手に教訓めいた物を受け取る余地も無い。その「何も掴み取れない」という事実から逃げ出さない、強く美しい映画。
何か分かった気になって、事件にそれなりのテーマを加味して提示する事も出来るのでしょうが、それではワイドショーのコメンテーターの様に軽薄な映画になってしまいます。それでは美しくない。
ただ、無謀で無敵な女の子たちの姿を映し出す。それだけでいい。彼女たちの行いを誰が裁けましょう。


Seventh Code(2014年、日、黒沢清監督)
エンディングで前田敦子がとある詩を叫んだ直後の、どこに視線を向けるべきか迷い続ける、とんでもなく哀しく、ほのかに笑みを感じさせる表情。その表情一発で、とても大切な映画になりました。
映画全体も、ちょっと安易な形容ですが日活無国籍アクション+ノワール系ゴダールといった感じの、心地よい黒沢清印のジャンル映画で、良いショット満載。見返すたびに新たな細部の発見があります。ブルーレイで見たいけど、現状DVD版しか無いのが悲しい。



ゲーム
Rockband 4
久しぶりのナンバリングタイトル、そして新世代機で初のRockbandという事で、徹底的に機能を削ってシンプルに徹した新作。コアなファンには食い足りないですが、いたずらに特殊コントローラが増えたり、膨大なDLC楽曲の有無でプレイヤー間に垣根が生じる事を考えれば、キーボードやオンラインプレイのオミットは悪い判断では無いのでしょう。新しい事は何も無いですが、やっぱり面白いし、時折プレイしたくなります。しかし相変わらずキャラカスタマイズが物足りないっすね。あと、DLC単品でもいいからGreen Grass and High Tides配信して欲しい。

ウィッチャー3
たった一つの大切な物を守り抜くために総力を結集する攻城戦の高揚、最終決戦の地へ馬を駆ける緊張。ストーリーテリングとゲームプレイの盛り上がりが正しく一致する、稀有なゲームでした。ハーフライフ以降、ストーリーテリングとゲームプレイの融和はなかなか進化できずにいたように思います。が、本作でようやく新たな段階へ進んだのではないでしょうか。GOTY総ナメも妥当の傑作。

フォールアウト4
昨年のドラゴンエイジ:インクイジションも、今年のウィッチャー3も、前作からの進化が凄まじかったですが、そのワリを食った感があるのがフォールアウト最新作。クラフト要素は強化されたものの、基本いつものベゼスタゲーで新鮮味に欠けます。
でも、一番夢中になったのはフォールアウト4でした。やっぱり廃墟漁りはやめられない。とにかく続きがやりたくて睡眠が浅くなる毎日。200時間以上かけて全勢力のメインクエスト踏破して、ようやく落ち着いて眠れるようになりました。



アニメ
ゆるゆり さん☆ハイ!
アニメ一期二期の太田雅彦監督は、キャラを立てるのが上手いのは分かるけど品が無くてどうも苦手で、ラジオやライブDVDなどの中の人コンテンツと原作は何度もリピートしてるけど、アニメは一度しか見ていませんでした。
しかし今期の畑博之監督は上品で良いです。毎日2本の映画を見て、残りの時間はひたすらゆるゆり さん☆ハイ!をリピート再生する日々。ヒマだな俺。

ひだまりスケッチ 沙英・ヒロ 卒業編

引っ越しすると、ひだまりスケッチを見たくなります。今年は短期間に二回も引っ越すハメになって、やたらと見てました。特に一期と二期は何周した事か。
沙英・ヒロ 卒業編も、毎度泣いてしまうのですが、幾度となく見ました。元より後藤さんの事もあって思い入れの深い作品ですが、松来さんが亡くなって、より特別なものになってしまいましたね。
[ 2015/12/28 20:35 ] 映画鑑賞記 | TB(0) | CM(0)

『マッドマックス 怒りのデス・ロード』『シンドバッド 空とぶ姫と秘密の島』『アベンジャーズ エイジ・オブ・ウルトロン』

マッドマックス 怒りのデス・ロード』2D字幕
http://wwws.warnerbros.co.jp/madmaxfuryroad/

原題 "Mad Max: Fury Road"
監督:ジョージ・ミラー
脚本:ジョージ・ミラー、ブレンダン・マッカーシー、ニコ・ラサウリス
出演:トム・ハーディ、シャーリーズ・セロン、ニコラス・ホルト



バスター・キートンの映画をリアル・タイムで見ることが出来たのなら、きっとこんなに楽しかったのだろうなぁ、と思う程に、

もっと言えば、バスター・キートンどころか、リュミエール兄弟の『列車の到着』まで遡れるくらい、原初的な映画の楽しさがありました。

ロッセリーニの『イタリア旅行』を見たゴダールが「男と女と一台の車があれば映画はできる」と確信し初の長編映画『勝手にしやがれ』を撮った、という有名なエピソードがありますが、そのフレーズを借りるなら今回の『マッドマックス』は「前進する乗り物があれば映画はできる」といった具合でしょうか。前進を続ければドラマは生まれるし、爆走する乗り物がスクリーンに映るだけで楽しい。



・『シンドバッド 空とぶ姫と秘密の島
http://www.sinbad.jp/

監督:宮下新平(『ドラえもん のび太の恐竜2006』演出)
シリーズ構成:川崎ヒロユキ(『山賊の娘ローニャ』)
脚本:早船歌江子(『紙の月』)
キャラクターデザイン、作画監督:佐藤好春(『となりのトトロ』)
声優:村中知、田辺桃子、永澤菜教、薬師丸ひろ子、鹿賀丈史



日本アニメーション40周年記念作品。かつての世界名作劇場的な温かい世界観を目指しているのは分かるのですが、残念ながら完全に「温かみ」を履き違え、ひたすらに「ヌルい」仕上がり。

登場人物はみーんな主人公の理解者で、悪役は"わるもの1"レベルのクソザコ。主人公には障害も葛藤も存在しない。
幼児向けのアンパンマンやプリキュア映画だってキチンと主人公たちを絶望させるから盛り上がるのに、こんなにヌルくちゃ面白くならないわ。

今回は三部作の第一部なので、次作以降ヒロインの悲惨な過去やら行方不明の主人公の親父が絡んだり、悪人サイドの親玉なんかが出てきて、ちゃんと盛り上がる、と思いますが、
テキトーに端っこ縛っただけのロープをテキトーにブン投げ、高所の手すりにグルグルと引っ掛けただけの
rope1.jpg
「それ引っ張ったらスグに外れますよね」というロープを伝って主人公がスルスルと高所へ登っていく、という昨今ではあまり見かけないテキトーな動作を平然とやっちゃう雑な作品なので、このまま単調に進行して何となく終わる気も。次回が気になります。



・『アベンジャーズ エイジ・オブ・ウルトロン』2D字幕
http://marvel.disney.co.jp/movie/avengers.html

原題 "Avengers: Age of Ultron
監督、脚本:ジョス・ウェドン
新規出演:アーロン・テイラー=ジョンソン、エリザベス・オルセン、ポール・ベタニー



「愛する人を守りたい」みたいな日本版宣伝コピーですが、今回も基本「大笑い ヒーローたちの 馬鹿騒ぎ」な石川力夫の辞世の句みたいな映画なので安心です。

今回は、誰もがヒーローである系物語、プリキュアで言うところの「女の子はだれでもプリキュアになれる」を、あえて怪物やら神やら社長やらがヒーローやってる「アベンジャーズの内部」でやってしまう、という、キレキレなコンセプト。
「ヒーローは誰でもアベンジャーズになれる。でもすっごい覚悟とズ太い神経が必要だよ!」とアベンジャーズになる為のハードル上げまくって、それでも新たな仲間がアッセンブルする瞬間、そりゃ鳥肌立つよ。
[ 2015/07/07 15:39 ] 映画鑑賞記 | TB(0) | CM(0)

『シンデレラ』

シンデレラ
http://www.disney.co.jp/movie/cinderella.html

原題 "Cinderella"
監督:ケネス・ブラナー
脚本:クリス・ワイツ(『アバウト・ア・ボーイ』)
出演:リリー・ジェームズ、ケイト・ブランシェット、ヘレナ・ボナム=カーター



・散々使い古されたベタベタでマンネリなストーリーであっても演出が良ければ何度でも楽しめる、というお手本のようなド直球シンデレラ物語。『フランケンシュタイン(1994年版)』然り、『マイティ・ソー』然り、大仰で王道な映画を監督する時のケネス・ブラナーは、演出やお話にムダが無く、それでいて大作らしいボリューム感を損なわない、良い仕事します。

・映画内の悪を一身に引き受ける継母役ケイト・ブランシェット様さすが。『サンセット大通り』のグロリア・スワンソンを思わせる階段立ち姿、お美しゅうございました。

・あまりにも王道なシンデレラなので、鑑賞中にふと他のシンデレラ型ストーリーの映画を思い出し、比較してしまう事が何度かありました。この映画みたいに「変身シーンのカタルシス」「多くの助けを得ながらも、最後は自分の足で目的地に到達する」をしっかり演出してくれたら『映画プリキュアASNS1』も傑作になれたのになぁ、とか、シャブロル監督の一家惨殺映画『沈黙の女』って構造は正統派シンデレラ・ストーリーだったんだなぁ、とか。

・同時上映の短編『アナと雪の女王 エルサのサプライズ』は、アナxエルサ中心アナ雪オールキャラのギャグ同人誌みたいなお話で、微笑ましかったです。
[ 2015/05/15 20:36 ] 映画鑑賞記 | TB(0) | CM(0)

『龍三と七人の子分たち』『映画クレヨンしんちゃん オラの引越し物語 サボテン大襲撃』『フォーカス』

・『龍三と七人の子分たち
http://www.ryuzo7.jp

監督、脚本、編集:北野武
音楽:鈴木慶一
出演:藤竜也、近藤正臣、中尾彬、品川徹、樋浦勉、伊藤幸純、吉澤健、小野寺昭

北野武は「狙いに行ってる映画」製作モードになると、作品もしくは観客に寄り添ってしまい、映画と自身の距離感を欠いてしまう印象があります。
見てるコッチが恥ずかしくなる『みんな~やってるか!』や、過去作に縛られまいとして逆にがんじがらめな『座頭市』みたく、ヘンに力んだり、『菊次郎の夏』や『アウトレイジ』後半のように、サービス精神が空回りしたり。

しかし今回は、娯楽作を狙いに行きながら、観客に寄り添おうなどというウザいサービス精神が薄くて、良い感じです。全く面白く無いコメディシーンもありますが、見てるコッチが恥ずかしくなるほどキッツイ事態にはなっていません。
最近の映画にありがちな「主人公とその仲間たちはみんな幸せになりました」系エピローグが無いのも嬉しいです。肩肘張って無いプログラム・ピクチャーの佳作って感じ。楽しかったです。



・『映画クレヨンしんちゃん オラの引越し物語 サボテン大襲撃
http://www.shinchan-movie.com/

監督:橋本昌和(『レイトン教授と永遠の歌姫』『映画クレヨンしんちゃん バカうまっ!B級グルメサバイバル!!』)
脚本:うえのきみこ(『映画クレヨンしんちゃん バカうまっ!B級グルメサバイバル!!』)
ゲスト声優:坂本真綾、平田広明、堀内賢雄、浪川大輔
芸能人声優:指原莉乃、日本エレキテル連合



野原一家で王道モンスター・パニック映画をやったら、ちゃんと怖くて、沢山笑えて、ベラボウに面白い傑作になってしまいました、という一作。さしずめモンスター・パニック版『ショーン・オブ・ザ・デッド』とでも言いましょうか。マジでモンスター・パニック映画史に残るレベルの出来です。
個人的にも、クレしん映画TOP3入りするかもしれません(ちなみに上から『雲黒斎』『ブタのヒヅメ』、そして今回の最新作か『カスカベボーイズ』って感じ)。

モンスター・パニックの定番ネタを次々と繰り出しつつ、「クレヨンしんちゃん」のお約束も(映画ではあまり出さないネタも含め)コレでもかと見せてくれるのがまた凄い。人喰いサボテンたちが割と本気でブキミなので、おなじみのネタが繰り出された際の安堵感が大きく、緊張と緩和の落差が効いていました。

導入パートの引っ越しで、なかなか劇場版に出てこないキャラが顔見せしてくれるのも嬉しいです。ななこおねいさんなんて『ヤキニクロード』以来12年ぶりの映画出演だそうで、先代の声優さんが亡くなられたので今は伊藤静がCVなんですね。園長先生役の納谷六朗さんも昨年亡くなりましたが、本作ではちゃんとセリフ有りで登場。本作が遺作になるのかな。しんのすけと組長のやりとり、シンプルだけど、泣けました。

さらに前作『ロボとーちゃん』に引き続き、今回も野原みさえが抜群に良いんですよね。前作では妙に「女」としての魅力を出していたみさえですが、本作では揺るぎない家族の精神的支柱として素晴らしいセリフを披露。男の身勝手をビシッと諌めるみさえ、格好良かった。



・『フォーカス
http://wwws.warnerbros.co.jp/focus/

原題 "Focus"
監督、脚本:グレン・フィカーラ&ジョン・レクア(『ラブ・アゲイン』)
出演:ウィル・スミス、マーゴット・ロビー(『ウルフ・オブ・ヲールストリート』)



監督の前作『ラブ・アゲイン』は「ダメ夫改造計画映画かと思いきや実は、、、」と観客の予想を裏切る怒涛の展開が待っている、その意外性が非常に効いている傑作でした。

今回は詐欺師モノなので、ストーリーの意外性/どんでん返しがあるのは当然、という状況の上で、あえてストレートにラブロマンスをやってしまう感じ。それでいて、前作でも見せた「まさか繋がると思っていなかった点と点が一本の線で繋がれる」という驚きもある、なかなかの佳作。
[ 2015/05/02 13:52 ] 映画鑑賞記 | TB(0) | CM(0)

2015年5月注目映画チェック

5月。ゴールデンウィークも終わるので超大作はありませんが、テリー・ギリアム、ダルデンヌ兄弟、マイケル・マン、ニール・ブロムカンプ、ポール・シュレイダー、アレクサンドル・アジャ、ジャウム・コレット=セラ、石井岳龍、園子温、河瀬直美、三宅唱、前田弘二、橋本一、品川ヒロシ、押井守、そして原恵一と、様々な方面の映画好きをニッコリさせる監督名が並ぶ今月の公開作。

アニメは『コードギアス 亡国のアキト 第3章』『ストライクウィッチーズ Operation Victory Arrow vol.3』『蟲師 特別編』『デュラララ!!×2 承 第4.5話』『這いよれ!ニャル子さんF』と、OVA劇場公開モノ多し。

企画上映では、16日から始まるシネマカリテの「カリテ・ファンタスティック!シネマコレクション2015」がなかなかのラインナップ。
http://qualite.musashino-k.jp/quali-colle2015/
コッポラの孫娘ジア・コッポラやジェイク・カスダンの監督作、そしてベルセバの『ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール』やケヴィン・スミス最新作の先行上映など。

個人的に今月一番気になる作品は、本年度最高のクソ映画な予感がする『お化け屋敷列伝 戦慄迷宮MAX』ですね。



5/1(金)
フォーカス
http://wwws.warnerbros.co.jp/focus/
ツイストの効いたストーリーテリングの大傑作『ラブ・アゲイン』のグレン・フィカーラ&ジョン・レクア監督脚本、ウィル・スミス主演でクライム・サスペンス。良さそう。


リベンジ・オブ・ザ・グリーン・ドラゴン
http://www.greendragon.jp/
製作スコセッシ、監督『インファナル・アフェア』のアンドリュー・ラウによる、アメリカでのし上がっていくチャイナ・ギャング物。アンドリュー・ラウの映画にレイ・リオッタが出てる、ってだけで見たくなります。


私の少女
http://www.watashinosyoujyo.com/
ペ・ドゥナと、『冬の小鳥』『アジョシ』の子役キム・セロンが共演。監督脚本は韓国映画界ではちょっと珍しく女性のチョン・ジュリ、プロデュースはイ・チャンドン。文芸系韓国映画好き要注目なタイトルっぽい。


THE NEXT GENERATION パトレイバー 首都決戦
http://patlabor-nextgeneration.com/
実写シリーズの最後を飾る長編劇場版にして、『劇場版パトレイバー2』後日談。



5/2(土)
ラスト・リベンジ
http://lastrevenge.net/
ベテランCIA捜査員ニコラス・ケイジが、認知障害に侵され記憶を失いつつ、かつて自分を拷問したテロリストにリベンジする、楽しそうな映画。監督脚本ポール・シュレイダーだから重いテイストになりそうだけど、ニコラス・ケイジのツラが良い具合に中和してくれそう。


キャノンレース
http://cannonrace.com/
ノルウェー産、スーパーカー長距離レース映画。『ワイルド・スピード』のおかげで車映画増えたけど、こういうオーソドックスなヤツはあんまり無いので楽しみ。『トロール・ハンター』の撮影監督であるハルヴァルド・ブレインの長編監督デビュー作。



5/8(金)
ブラックハット
http://blackhat-movie.jp/
マイケル・マン監督最新作。クリス・ヘムズワース主演。香港の原子炉を爆破し、アメリカ金融市場を揺るがした、要求も声明も出さないクラッカーを追う物語。ネットをネタにしながらもドンパチやりまくりな雰囲気は、流石マイケル・マンです。



5/9(土)
ホーンズ 容疑者と告白の角
http://horns-movie.jp/
ダニエル・ラドクリフ主演、アレクサンドル・アジャ監督。ハリポ以外のダニエル・ラドクリフ映画って、日本で広告展開しにくいネタばかりだなぁ。


ズタボロ
http://www.zutaboro.com/
ゲッツ板谷の不良小説、橋本一監督で映画化。橋本監督は泥臭いアクションと相性良さそうなので、今回は悪くないんじゃないかなー。


百日紅 Miss HOKUSAI
http://sarusuberi-movie.com/
原恵一監督最新作。原作杉浦日向子。主題歌椎名林檎。エンドクレジットで椎名林檎の歌が聴こえてくるの、すげぇ気持ち良さそう。



5/16(土)
ゼロの未来
http://www.zeronomirai.com/
みんなの好きなテリー・ギリアム要素が詰まってそうなテリー・ギリアム監督最新作。クリストフ・ヴァルツ主演。


ライフ・アフター・ベス
http://lifeafterbeth.jp/
デイン・デハーン主演、彼女がゾンビになっちゃったコメディ。アナ・ケンドリック、ジョン・C・ライリー共演。『ハッカビーズ』の脚本家ジェフ・バエナの初監督作。


ラン・オールナイト
http://wwws.warnerbros.co.jp/runallnight/
アンノウン』『フライト・ゲーム』に引き続き、リーアム・ニーソン主演&ジャウム・コレット=セラ監督コンビ映画3作目。


Zアイランド
http://www.z-island.jp/
ゾンビ島からみんなで脱出しよう映画。品川ヒロシ監督脚本。哀川翔、鈴木砂羽、窪塚洋介、般若などキャスト選びが良い感じ。登場人物がツッコミをしなけりゃ品川ヒロシ映画は面白くなると思うんだけど、予告編見る限り今回もアレっぽいなぁ。



5/23(土)
チャッピー
http://www.sonypictures.jp/movies/chappie/site/
第9地区』のニール・ブロムカンプ監督最新作。前作『エリジウム』はパッとしなかったけど、今回は評判高いですね。


サンドラの週末
http://www.bitters.co.jp/sandra/
ダルデンヌ兄弟最新作。マリオン・コティヤール主演。これは良いだろうなぁ。


ゆずり葉の頃
http://yuzurihanokoro.com/
岡本喜八の奥様である中みね子が監督脚本。


騒音
http://souon-movie.com/
関根勤初監督作。ダメ人間がヒーローになっちゃうモノの王道を、気持ち良くやってくれそうな雰囲気。


やるっきゃ騎士
http://yaru-nai.com/
みやすのんきの漫画、何故か今、実写映画化。


お化け屋敷列伝 戦慄迷宮MAX
http://www.obakeyashiki-movie.jp/
LinQメンバーや、人気ゲーム実況プレイヤー、一般カップルなどが富士急ハイランドの戦慄迷宮に挑戦する姿を捉えた映画。予告編からして物凄い塩企画。見たい。



天才バカヴォン 蘇るフランダースの犬
http://bakavon.com/
FROGMAN監督作。これも塩企画。



5/27(水)
ソレダケ / that's it
http://soredake.jp/
石井岳龍監督作。石井監督とbloodthirsty butchersの吉村秀樹が映画を企画していたところ、吉村秀樹が亡くなったので頓挫。それでは終われぬと監督がブッチャーズの音楽を全編に使ったロック映画を製作。染谷将太、村上淳、綾野剛など、キャスティングがいかにもで良いっすね。



5/30(土)
ジェームス・ブラウン 最高の魂を持つ男
http://jamesbrown-movie.jp/
JB伝記映画。傑作『ヘルプ 心がつなぐストーリー』のテイト・テイラー監督作。


ロスト・リバー
http://lostriver-film.com/
ライアン・ゴズリング初監督作。『ドライヴ』感まるだしのwebサイトだけど、予告見るとむしろ『オンリー・ゴッド』に近そうなテイスト。撮影は『エコール』『スプリング・ブレイカーズ』のブノワ・デビエ。


心霊写真部 劇場版
http://shinreishashinbu-movie.com/
中学生がお泊まりの日に借りてキャッキャ言いながら見るようなライトJホラーで最良のオリジナル・ビデオ作品ながら、イマイチ売れずに二作で終わってしまった『心霊写真部』シリーズ。ニコニコで受けたおかげで劇場版として復活。以前のシリーズから5年も経っているので心霊写真部メンツは若干変わっていますが、監督は永江二朗が続投。キャストに『へんげ』の森田亜紀がいるのが嬉しい。


夫婦フーフー日記
http://fu-fu-nikki.com/
佐々木蔵之介、永作博美主演。『婚前特急』『わたしのハワイの歩きかた』の前田弘二監督脚本。この監督さん、女優を魅力的に見せるの上手いんだよなぁ。


新宿スワン
http://shinjuku-swan.jp/
園子温監督最新作。実写版『ルパン三世』の水島力也&『ハンサム・スーツ』の鈴木おさむという、現在の邦画界最強クソ映画コンビが担当した脚本を、監督がどう料理するのか、モノすんごく楽しみです。


あん
http://an-movie.com/
「どのシーンも、これが最後なのかな、なんて思いながら頑張っています」という、死にかけ樹木希林推し特報がヤバい、河瀬直美監督作。



THE COCKPIT
http://cockpit-movie.com/
SIMI LABのOMSBと、THE OTOGIBANASHI'SのBimが共同でトラックメイクしてラップ乗せて、、、と曲を作っていく様子を捉えたドキュメンタリー。三宅唱監督作。
[ 2015/04/30 10:47 ] 映画鑑賞記 | TB(0) | CM(0)

『ワイルド・スピード SKY MISSION』

・オレの思う正統派プリキュアイズム継承監督って、西尾大介→小村敏明→座古明史までだったんですけど、田中裕太も入ってきそうな気がする今日この頃。プリンセスプリキュアおもしろいです。



・『ワイルド・スピード SKY MISSION
http://wildspeed-official.jp

原題 "Furious 7"
監督:ジェームズ・ワン(『ソウ』『狼の死刑宣告』)
出演:ヴィン・ディーゼル、ポール・ウォーカー、ジェイソン・ステイサム、ドウェイン・ジョンソン、ミシェル・ロドリゲス、カート・ラッセル、トニー・ジャー



シリーズ過去作でいささか増えすぎたチーム・メンバー(主人公の言うところの「ファミリー」)を上手く間引き、コア・メンバー間の絆を強調。この「ファミリーの絆」推し演出が、映画のテーマとしても、亡くなったポール・ウォーカー最後の花道としても、美しく機能していく物語。素晴らしかったです。

シリーズファンにとっては本当に、本当に、切ないけれど嬉しい一作となっております。
上映後の映画館のトイレで、平日昼間から本作を観に来たオッサンたちが小便しながら、涙目を隠すように顔を伏せつつ鼻をすする絵図は、間抜けだけれどもグッと来るものがありました。映画館で映画見て良かった、と思う瞬間ですね。


本作はポール・ウォーカーへの情愛に満ちておりますが、もちろん彼だけを立てる映画ではありません。
ヴィン・ディーゼル、ドウェイン・ジョンソン、そして遂に参戦したジェイソン・ステイサムが繰り広げる、現在最高アクションスターたちのバトル。
フルスロットル』にて「動ける俳優」としての力量を示したポール・ウォーカーの敵役として、堂々たる悪人キャラを演じるハリウッド映画初登場トニー・ジャーの勇姿。
エクスペンダブルズ3』にて新人として消耗品軍団入りしたロンダ・ラウジーも短時間の登場ながら驚異のガタイと存在感で、ロドリゲス姐さんと殴り合いを披露。
カート・ラッセルも、ジョン・カーペンター監督作の匂いを感じさせる活躍で、ついつい笑みが漏れてしまいます。

そんな具合に、登場人物たちは皆イイ活躍。
監督が『狼の死刑宣告』のジェームズ・ワンなだけあってか、キャラを立てつつアクションを見せるのが、なかなかお上手です。立体駐車場使いも相変わらずお上手。『インシディアス』もそうだけど、建築物の構造や高低差を活かす演出に強い人なので、今回のネタにピッタリな監督さんでした。


アメリカでは興行収入、今年の作品でダントツの一位。OSTアルバムも、実質的主題歌であるウィズ・カリファ feat チャーリー・プースのシングルも、それぞれビルボード・チャート一位。故ポール・ウォーカー効果は大きいでしょうが、ここまでの成功は作品自体の良さもなければ不可能だったでしょう。多数の要素をブチ込んでスケールアップしながら破綻なくまとめ上げ、最高の形でポール・ウォーカーをスクリーンに遺してくれたスタッフ陣、凄いです。
[ 2015/04/18 14:12 ] 映画鑑賞記 | TB(0) | CM(0)

『イントゥ・ザ・ウッズ』『スーパーヒーロー大戦GP 仮面ライダー3号』

・今日のイイ話。三池崇史監督と皇族が並んで映画鑑賞。
http://www.oricon.co.jp/news/2050458/full/



・『イントゥ・ザ・ウッズ
http://www.disney.co.jp/movie/woods.html

監督:ロブ・マーシャル
脚本、原作:ジェームズ・ラパイン
出演:メリル・ストリープ、エミリー・ブラント、クリス・パイン



どんな監督がついてもイマイチ映画になってしまう近年のディズニー実写おとぎ話シリーズの中では、最もマトモな出来。監督の良さも原作の良さもキチンと出ており、何よりもかなり「映画」してます。他の作品は映画というより、原作との辻褄合わせや差別化に四苦八苦しているだけの絵解き物語、って感じでしたからね。

しかし本作は、その構成が、複数のおとぎ話をキレイに集約していく群像劇ではなく、不要になったキャラは割とザックリ切り捨てていく雑なスタイルなので、イマイチ評価な人が多いのも仕方ないかと思います。日本語字幕もあまり良くないし。
ただ、日本人感覚では全編がメルヘンな映画ですが、911以降なアメリカ人感覚では、メルヘンが崩壊しても毅然と現実に立ち戻る映画として解釈できるようなので、その辺を踏まえると、イマイチ映画だと思った人も、好意的に見えるようになるかもしれません。もしくは、そのマッチポンプっぷりが今のアメリカの縮図に見えて、ウンザリするかもしれません。

個人的には構成も、主義主張も、音楽も、カメラワークも、好みではありませんでしたが、割と高い映画力ゆえに、最後まで楽しく見ました。テーマはとても良かったのに全く楽しめなかった『マレフィセント』とは正反対ですね。



・『スーパーヒーロー大戦GP 仮面ライダー3号
http://www.superhero-movie.com

監督:柴崎貴行
脚本:米村正二
出演:竹内涼真、中村優一、半田健人、天野浩成、倉田てつを、及川光博



もうヒーロー集合お祭り映画で理にかなったストーリー作るのとか無理だし、とにかく楽しい/熱いアクションと展開を繋げて映画にしましょう!って感じのデタラメさが、スゲェ面白かったです。
安易で雑(だけど誠実)な作りをニヤニヤと笑いながら見ていたクセに、子供が「ライダーがんばれ!」と応援するシーンで速攻泣いてしまう自分の安易さには、若干悲しくなりました。キッズムービー見てる時の俺は涙腺のハードルゆるすぎるわ。
[ 2015/03/24 11:00 ] 映画鑑賞記 | TB(0) | CM(0)

『映画プリキュアオールスターズ 春のカーニバル♪』

・『映画プリキュアオールスターズ 春のカーニバル♪
http://www.precure-allstars.com/

監督:志水淳児
脚本:井上美緒
ゲスト声優:中田敦彦、藤森慎吾



プリキュアオタクとしては、過去作への思い入れ故に、それなりに楽しめました。が、「俺の中の幼女」はさほどトキメキませんでした。

昨年の『劇場版プリティーリズム・オールスターセレクション プリズムショー☆ベストテン』のようにダンスステージ特化型であれば、もしくは、劇場版セラムンR併映の『メイクアップ! セーラー戦士』のようなカタログ型であれば、プリキュア過去シリーズを知らない子供も容易に楽しめたと思うのですが、本作は両方を中途半端に取り入れた構成で、女児置いてきぼりになってしまった様に思います。


プリキュア映画でお子様が最も盛り上がるシーンは「私の知っている物が出てくる」場面である事が多いんですよね。
昨年のオールスター映画の場合は、キュアハニー登場シーンでした。当時のハニーはTVシリーズ本編ではまだキチンと活躍していないけど、オープニングなどに出てくるのでみんな存在は知っている、という状態。雑誌などでプリキュア予習している女の子が得意になって「キュアハニーだよ!」と声をあげたりするのが、なんとも微笑ましい光景でした。

逆に、よく知らないおはなしを延々と続けられると、お子様はどうしようもなくテンションが下がっていきます。今回はその典型でした。昔のプリキュアや妖精の姿を情緒たっぷりに見せられても、何のこっちゃ、です。再放送の少ない地方では、なおさら。

しかし流石に、主題歌"イマココカラ"は大々的にテレビなどで露出していたので、お子様のリアクションも上々でした。プリキュアとハロプロの連携プロモーションとしても良かったですね。『映画ふたりはプリキュアMH2』以降、イマイチなコラボを繰り返してきましたが、ようやく成功した感じ。


反面、オリラジの起用は案の定お寒い結果となりました。
プリキュアは頻繁に芸人を声優起用しながら(フレプレのレギュラー前田健を除いて)総じてクソみたいな使い方しか出来ていませんが、それと比べれば幾分マシです。
藤森慎吾は、かつて米国産3DCGアニメの佳作『モンスター・ホテル』で吹替担当して作品を台無しにしていたのですが(悪いのは芸人さんじゃなくて、起用したヤツと吹替セリフ書いたヤツだと思うけど)、それと比べれば圧倒的にマシです。
それでもやはり、ただでさえ低い作品クオリティをドン底にまで落とし込む要素になった事は否めません。寒々しいセリフと演技に、お子様連れの親御さんは呆れ返った事でしょう。いい加減、相手に迎合しない芸人起用をして欲しいっす。



と、主題歌以外のほとんどの要素を酷評してしまう映画にも関わらず、プリキュアオタクとして見ると号泣作品になってしまうのだから、思い入れというのは恐ろしいモノです。

最終回後の世界を楽しそうに過ごしているプリキュアたちを見ているだけでウルウルします。しかもそれが青山充原画だったり、香川久や川村敏江の画だったりするので、嬉しくて嬉しくて、涙ダダ漏れでした。特にドキプリパートは今思い出しても涙ぐみますねヤバイですね。

しかし、プリキュアたちを見せるにしても、前回のオールスター映画ASNS3が、映画のテーマである「夢」と絡めて各プリキュアの個性を活かしていたのと比べると、今回はあまりに安易。
ASNS1の時点で、キュアマリンに「やるっしゅ!」って言わせときゃイイんだろ的な安易さは出ていましたが、今回は「このキャラとこのキャラいちゃいちゃさせときゃイイんだろ」という、悪い意味で二次創作的な安易さが炸裂しており「公式がコレをやってしまうのか」と不安にもなってしまいました。

でもそんな文句垂れながらドキプリパートのマナレジ&あぐエルで号泣しちゃうのが悲しい。トークをもれなくゴハンネタに繋いでいく大森はスゲェ面白かったし、キュアメロディとキュアマリンの絡みも新たな可能性が見えてヤバかったなぁ。。。
ああ、コレはまんま、ソープで散々気持ち良くなっておきながら嬢に説教するダメ男ですね、よくないですね。
[ 2015/03/17 15:07 ] 映画鑑賞記 | TB(0) | CM(0)

『幕が上がる』『ドラえもん のび太の宇宙英雄記』

・『幕が上がる
http://www.makuga-agaru.jp

監督:本広克行
脚本:喜安浩平(『桐島、部活やめるってよ』)
原作:平田オリザ
出演:ももいろクローバーZ、黒木華



良くも悪くも、本広克行監督らしい仕上がり。
この監督の悪癖である、常に画面に動きがないと死んじゃう病は、今回も健在。カメラは常に動き続け、演技演出は常に大袈裟。「常に面白い映画」であろうとして、メリハリを失い単調になる、いつもの調子です。

おかげさまで前半はなかなか退屈だったのですが、ももクロ演じる主要キャラクターの立ち位置が定まった辺りからは、本広監督の良さである「軽み」が功を奏し、とても楽しめるアイドル映画になっていきました。


この映画はとにかく、深刻になりません。物語は主人公が屈折を抱えた状態で始まりますが、あっさり演劇の神様が手を差し伸べてくれますし、演劇部に訪れそうになる危機は勝手に解決されていきます。
ももクロと黒木華の行動をひたすらに肯定し続けるこのヌルさが、恐れや限界を知らずに突き進める「青春時代」特有の無敵感を生み出していて、とても気持ち良かったです。

また、登場人物は成長もしません。あくまで自分の資質に気づくだけです。
二時間という時間は、複数の人物の成長を描くには短すぎます。成長を描いて鈍重になるよりは、早々に資質に目覚めて颯爽と活躍するキャラクターを写し取っていく。アイドル映画として、とても正しい選択だと思います。

そして何より、エンドクレジットが素晴らしかった。アイドルたちが主題歌に合わせて、舞台となった学校内で踊ったりおどけたりする、アイドル映画の王道エンドクレジット。
映画本編での演劇モードの彼女たちとはまるで違う、「ももクロ」としての彼女たちの魅力に溢れた映像が流れ出すと、異化効果でついつい泣いてしまうのは、僕が大林版『時をかける少女』が好きだから、というのもあるでしょうが、それを置いても、本編中の彼女たちの演技力の凄みに改めて気づかせてくれる、良いエンディングでした。

他の監督がやれば、もっと奥行きのある映画になっただろうとも思いますが、アイドル青春映画としては本広克行監督で大正解。本広監督映画としても、資質と素材がバッチリ合った、ベストの一作なのではないでしょうか。



・『ドラえもん のび太の宇宙英雄記
http://doraeiga.com/2015/

監督:大杉宜弘
脚本:清水東
ゲスト声優:井上麻里奈、能登麻美子
芸能人声優:市村正親、田中裕二、観月ありさ



近年のドラ映画は良作続きで、(少なくとも現行声優ドラを好意的に見ているタイプの)オトナファンの多くから高評価を受けていた印象があります。が、おそらく今回は厳しい評価のオトナが増えるのではないでしょうか。

今回は正直、脚本がイマイチ。ストーリーではなく、シーンの瞬発力で強引に約100分の尺を繋いでいる映画です。
明確に幼年層向けに作られており、楽しいシーンやアツいシーンがちょくちょく挟み込まれるのでお子様のリアクションは良好ですが、エピソードを積み重ねるウェルメイド寄りのドラ映画好きなオトナには物足りないかと思われます。


個人的には、ドラえもんのお約束が散りばめられたエピソードを乱雑に繋ぐスタイルが面白く、大袈裟に言えば『狩人の夜』的な良さを感じました。

狩人の夜』は、グリム童話にも似たシンプルな物語を、その場その場で移り行くチグハグな演出スタイルで描いた結果、メルヘンチックなのに凄まじくサスペンスフルに仕上がった、トリュフォー曰く「映画的文体の不統一」が魅力の映画です。
『のび太の宇宙英雄記』の場合は「映画的文法の不統一」というよりは、「脚本の方向性の不在」ゆえにチグハグになっているのですが、結果、ドラえもんらしい安心感とスラップスティック感が同居した、不思議な魅力を生んでいます。

脚本の弱さは、映画を「物語と伏線」ではなく、「行為の反復」で構成させる、映画的な面白さの原動力にもなっていました。
特に「のび太のズボンネタ」の反復によるギャグシーンは秀逸で笑ってしまったのですが、その後さらに「のび太の井戸落ち」でその行為を再反復して物語の推進力に利用する演出は見事で、唸りました。


ゲスト声優、井上麻里奈は今まで聞いた中で一番のイイ男声を出していました。ファンは一聴の価値ありでしょう。ドラ映画は相変わらずゲスト声優の使い方バツグンですわ。能登麻美子はピーピー言うマスコットキャラで、ちょっと珍しい役ですが、能登麻美子感は極薄。
芸能人声優は全員上手いっす。田中裕二は『モンスターズ・インク』のマイク役とは違った味を出していて流石。初声優業の観月ありさも違和感ナシ。
[ 2015/03/14 04:18 ] 映画鑑賞記 | TB(0) | CM(0)

『ミュータント・タートルズ』『ANNIE アニー』『劇場版ムーミン 南の海で楽しいバカンス』『アメリカン・スナイパー』

引っ越してからトラブル続きで、安定したネット環境が整うまで三週間かかりました、やれやれです。最近見た映画、簡単にメモ。


・『ミュータント・タートルズ』2D字幕
http://www.turtles-movie.jp

人間パートは、子供じみたセリフ回しと笑えないジョークが支配する、ひどく退屈な出来。しかし、ひとたびカメやネズミ、そしてシュレッダー様が登場すると、画面が充実して一気にテンションが上がる。
そんな感じが、昭和ゴジラ的で、とても好ましかったです。

特にシュレッダー様が爪をシャキーン!!と出して戦闘開始するシーンは『ゴジラ対メカゴジラ』のメカゴジラお披露目シーンを彷彿とさせる格好良さでした。スプリンターの捨て駒感はキングシーサーっぽかったな。



・『ANNIE アニー
http://www.annie-movie.jp

監督のウィル・グラックは『小悪魔はなぜモテる?!』『ステイ・フレンズ』と、過去二作が大変な秀作でした。
学園モノの『小悪魔はなぜモテる?!』では80年代学園コメディの大家ジョン・ヒューズへのオマージュが、ロマンティック・コメディの『ステイ・フレンズ』では現在のロマコメ映画への言及が、自らの映画ジャンルに対する批評として機能。その批評性と自覚性ゆえに、ベタな映画でありながら古臭さを感じさせない、粋な出来となっていました。

で、僕は新作『ANNIE アニー』にもジャンル的自己言及を期待していたのですが、残念ながらその辺は一切ナシ。むしろ、批評性を排し、古臭くも力強いベタを実践する事で、若年層を含めた多くの観客に受け入れられる事を選択したのかな、と思います。
という訳で、ベタで、良い映画です。僕はもう、キャメロン・ディアスの根ババ演技と、終盤での改心演技だけで満足。ステレオ・タイプな演技を嬉々としてやってくれる近年のキャメロン・ディアスは見ていて楽しいです。



・『劇場版ムーミン 南の海で楽しいバカンス
http://www.moomins-movie.com

F・W・ムルナウ監督の『サンライズ』という映画は、映画サイレント時代の最後を代表する作品で、映画史に残る100作を上げろと言われたら必ず入る名作です。
そんな名作でありながら、粗筋だけを見るととても奇妙な作品でもありまして、前半は「田舎男が都会からきた魔性の女にそそのかされ、純朴な妻を殺そうとする」というスリリングなサスペンスですが、後半は雰囲気一転。「仲直りしたバカップル状態の夫婦が都会でイチャイチャするだけ」の他愛ないエピソードを30分以上垂れ流し、最後に「二人の乗った小舟が嵐で転覆して妻が行方不明に」という危機的状況が無理やりに訪れ、でも助かってハッピーエンドになる、近年の少女漫画原作デートムービー邦画も真っ青のアホらしいお話です。
にも関わらず、映像話法を究極まで突き詰めた圧倒的映画力ゆえに名作であり、僕もサイレント時代の映画で最も好きな作品であります。

劇場版ムーミン』は、そんな『サンライズ』の後半を彷彿とさせる映画でした。ムーミン一家がリゾート地リヴィエラで起こすエピソードの、散文的羅列。一応ひと悶着ありつつ、雨降って地固まる終わり方。まさに『サンライズ』という感じ。

サンライズ』は映像的な飛躍(バカップルが歩いていると街の景色がいつの間にかお花畑に変わっている、とか)が魅力でしたが、流石に『劇場版ムーミン』に映像的飛躍はありません。しかし、散文的構成や、児童文学ならではの大胆な省略が、物語を飛躍させています。

キャラや空気感が牧歌的な作品は展開を少々乱暴にしないと、退屈になりかねなません。例えば『劇場版ミッフィー』は、キャラも物語も演出もひたすら牧歌的で平坦。オトナが見るにはあまりにも単調で、睡魔に襲われるのも致し方ない映画でした。
しかし『劇場版ムーミン』は、物語の飛躍によって強烈なドライブ感を得ています。キャラたちは一人ひとりが好き勝手に動き回り、統一性を軽やかに放棄します。退屈とは無縁の映画です。朴訥ながらも傍若無人な蛮行を繰り広げるムーミン一家の振る舞いも笑えるし、とても楽しめました。かなり好きです。



・『アメリカン・スナイパー
http://wwws.warnerbros.co.jp/americansniper/

宣伝は「実話」推しですが、イーストウッド監督作だけあってエンターテイメントとして盛れる所はキッチリ盛ってる作品。敵側スナイパーの人生をチラ見せしていく演出とか上手いっす。
そして何と言っても映画的白眉は、戦場クライマックスの「見えない」演出。「あえて映さない」という省略演出は凡百の映画が行ってきた事ですが、「何も映せない」という状況がこんなにも映画的効果を発揮する作品には、そうそうお目にかかれないでしょう。同種のシーンがある『ミッション・インポッシブル ゴースト・プロトコル』の二番煎じにならないあたりも、流石です。
[ 2015/02/24 13:48 ] 映画鑑賞記 | TB(0) | CM(0)
プロフィール
Author:かりふら