メモ

忘れっぽいです

2016年の涼画動

2016年の涼画動もステキな動画が投稿されました。
良さを言葉にしてみたいMADが沢山ありましたが、今回は「動画とは何ぞや」「編集とは何ぞや」という基本を改めて考えさせてくれた3つのMADに絞って、ものすごく今更ですが書き残しておきます。




HEAT-MPさんのMAD

映像は、技術の進歩で精細になり、情報量は増える一方ですが、映像を見る側はあんまり進化してないので、受け損ねる情報も増すばかりです。
なので、現在の映像は、情報の見落としを防ぐために、フレーミングを工夫して視線誘導したり、音やテロップで注視すべき要素を強調したりと、言うなれば「ここを見てください」という注釈入りで提示される事が多くなっています。

このHEAT-MPさんのMADは、色や速度を減らし、映像を単純化させています。
もはや注釈など必要としないほどに単純化された映像は、人物や舞台のモーション、そしてカメラムーヴといった、映像そのものが持つ「動き」の気持ちよさを、改めて感じさせてくれます。


また、現在の映像は「動く写真」を求めて作り出されたキネトスコープやシネマトグラフの延長にあるものですが、映像の単純化によって、それ以前にあったゾエトロープやパラパラまんがを思わす質感(動きを一度解体して、再度並べ直したような動作感)が生まれている点もユニークです。

シネマトグラフ以前からあった再構築された人物/物体の動きと、シネマトグラフ以降に登場した被写体を捉えるカメラ自身の動きが、少しズレながら同居している。
その面白さは、ディズニーがCG導入によって成し得た『美女と野獣』ダンスシーンや、細田守演出の『明日のナージャ』オープニングに通じるものがあります。

少しズレているからこそ面白さが際立つ、というのは重要なポイントですが(『美女と野獣』が滑らかなフル3DCGアニメーションだったら、あのダンスシーンの快感は生まれないでしょう)、なぜ違和感が快感を呼ぶのかについては、考えがまとまらないので自分の宿題にしておきます。





どらけけさんのMAD

小鳥さんをメインに据えた映像群の中に、無人のトレーニングルームを映したカットを挿入する。
すると、「かつてこのトレーニングルームでレッスンしていた小鳥さん」や、「今はもうここに来る事がない小鳥さん」など、見ている人がそれぞれに情景を思い浮かべる事が出来ます。
カットを割って、映像を繋いでいく。すると、映像に含まれる以上の情景が生まれてしまう。編集という魔法を改めて感じさせるMADです。


映像に慣れきった私たちにとって、映像編集/モンタージュはごく当たり前のものです。ただ、私たちが日常的に見るモンタージュは、「顔のアップの後に食べ物を映すと、その人物が空腹そうに見える」的な、隣接する映像/あるいは周囲の映像群に一定の意味や方向性を与えるためのモンタージュがほとんどです。そしてそれは、主に情報や物語を効率よく伝えたり、強化するために使われます。

そういった編集を悪く言うつもりは全くありません。僕は、編集で上手に情報や物語を伝えられる人を凄いと思うし、憧れます。
ただ、編集から生まれる表現はもっと多様にあると、どらけけさんのMADを見て気づかされました。

かけ離れたものを引き寄せる。
時間を無効化する。
「ミシンとコウモリ傘」的な偶発性やデタラメさを面白がる。
あるいは、どらけけさんのように、小鳥さんと無人のトレーニングルームのカットを繋いで、可視化されていないけれども確かに存在する情景を浮かび上がらせる。
編集が出来ることは沢山あります。


アイマスMAD、特に僕がよく見ていた2010年までのダンスMADを思い起こすと、ミシンとコウモリ傘タイプの編集は稀にありましたが、他の特殊な編集を意識的に行なっていた動画はなかなか出てきません。
(近年のMADはほとんど見ていないのであまり言及できませんが、アニマスやシンデレラガールズを用いたアニメMADを経由した現在は、ユニークな編集も行われていると思います。例えば回PやリンPは、映像間の次元や時間や距離を無効化して全て並列する見事な編集をしています)

ただ、僕の知る中で例外として思い浮かぶのが、qbさんのMAD群、特に『流れてくれない(sm10669123)』です。当時、熱心なダンスMADファンの多くが、あのMADの不思議な魅力に囚われましたが、その引力の正体はようとして知れませんでした。
今にして思えばあれは、ダンス映像を繋ぎながら、ダンスならざる情景を浮かび上がらせていたのではないか。しかし私たちはダンスMADという形式にとらわれていたので、そのダンスならざる情景を掴み損ねていたのではないか。そんな気がします。


蛇足ですが、アイマス2以降のqbさんは、MADの設定や状況のようなものをやんわりと提示する、私たちが物語や情景を想起しやすい作りになっていった気がします。例によって、2011年以降のqbさんのMADをほとんど見ていないので断言は出来ませんが。


*『流れてくれない』はもう見る事が出来ないので、『流れてくれない』と共通するモチーフを持つ(インスピレーションとなった動画の一つかもしれません)SAIZPのこちらを紹介しておきます。アクセや衣装のコーデだけで物語や情景を生み出す力、そしてそれを視聴者が読み取る力は、アイマス動画の強い所ですね。

ついでに、僕の大好きな映画の世界の話もしておくと、やはり映画においても、編集はもっぱらストーリーテリングの強化に使われる傾向にあります。
近年の嬉しい例外として、押井守監督の実写版『パトレイバー 首都決戦』の中で、アニメ『パトレイバー2 the Movie』に登場した南雲しのぶが、画面上に映っていないにも関わらずその存在感を強烈に浮かび上がらせる見事なシーンがありました。10年以上の歳月の壁も、アニメと実写の壁も、そもそも違う作品であるという壁すらも一瞬で乗り越えて、アニメ『パト2』の次元にいる南雲しのぶが、現在の実写作品に現れてしまう。こんな事が出来るのは押井守監督しかいないので、ファンは「パト2の焼き直しじゃねーか」なんてみみっちい事は言わず、もっと褒めたらいいのに、と思います。


どらけけさんの涼画動MADでは、『青空を許せたら(sm29436138)』も素敵でした。
アイマス世界には、一方に歌田音や軽口哲也のような記号的キャラクターが、一方に人格のあるアイドルたちが居て、プロデューサーはその中間にあるような気がします。ユーザーをプロデューサーとみなすコンテンツの性質上、ゲームやアニメの中のプロデューサーに強い人格を与えないのは方針として間違っていないと思いますが、でもやっぱりアニマスのPだってアイドルマスターの世界において大切な一人な訳で。情景を積み重ね、アニマスのPをそっと人格の方に寄せてみせる『青空を許せたら』は、とても優しいMADだと思います。




白昼夢さんのMAD

ほとんど波音でかき消される程うっすらと沖縄民謡が流れるサウンドトラックと、夕暮れを思わす質感の中で響が踊る映像。
アイマスMADではダンスシンクロという言葉が頻繁に使われるように、音と映像の同期が重視されますが、このMADを見ると音と映像のズレも表現として面白いと気づかされます。


例えば、野外フェスでミュージシャンが演奏している映像は、基本的にステージ上の演者と盛り上がる観客たちで構成されます。
でも、現地で視線の向きを少し変えると、盛り上がる観客たちの遥か後方で、芝生に寝転びながらビールかっくらってイイ具合に出来上がりつつボンヤリとステージや、ステージ脇の巨大モニタを眺めている人たちもたくさんいます(そういえば、このMADはモニタ映像を思わすフィルタがかかっています)。
演者と芝生に寝転んでいる人たちの間にある距離感を出そうとする映像はあまり無いかもしれません。映画『ウッドストック』はステージから遠そうな観客たちも映されますが、あれは演者も客も全て狂乱の中で並列されているので、距離感ゼロですし。


白昼夢さんのこのMADは、映像自体は一般的なダンスMADとして構成しながら、環境音を前面に出す事で、ステージを遥か後方から眺めているような距離感を作り出しています。カメラと被写体の距離を変えずとも、曲と環境音のボリュームを反転させるだけで視聴者と被写体の距離は変えられる。とてもスマートな演出です。

動画説明文は「サーサー節」の一節ですが、動画中で流れている曲もそれであるかは、沖縄民謡に明るくない僕には分かりません。
この一節を通じやすい日本語文章にすると「ここで踊って遊ぼうよ、こっちに来てよ、みんな」といった感じでしょうか。映像の距離感演出と呼応する素敵な動画説明文です。
[ 2017/02/11 15:40 ] 好きなアイマス動画 | TB(0) | CM(0)

2017年2月公開映画チェック、後半

2月後半の公開映画チェックです。

http://eiga.com/coming/


2/17(金)
セル
http://cell-movie.jp/
スティーヴン・キング原作脚本、ケータイ使った人が次々に暴徒と化していく中をサバイヴするお話。
とても楽しそうな設定ですが、キャストがジョン・キューザック&サミュエル・L・ジャクソンで、監督が『パラノーマル・アクティビティ2』トッド・ウィリアムズとなると、残念映画に仕上がってそうな予感。とはいえ、この二人が主演したキング原作の『1408号室』はそこまで悪くなかったですが。『エスター』のあの少女を演じたイザベル・ファーマンが、ちょっと大人になって出演してるのが嬉しい。


2/18(土)
雨の日は会えない、晴れた日は君を想う
http://ame-hare-movie.jp/

ダラス・バイヤーズクラブ』ジャン=マルク・バレ監督、近年の主演作にハズレなしジェイク・ギレンホール主演。妻が死んだけどこれっぽっちも悲しくなれない男が、身の回りのモノ全てブッ壊して、改めて自分を確かめていく。この人にピッタリの役柄で、これまた良さそうです。
原題は "Demolition" だそうで、邦題とのかけ離れっぷり凄いっすね。


ナイスガイズ!
http://www.niceguys-movie.com/

シングルファーザーで酒浸りの私立探偵と、腕力にモノを言わせる示談屋がコンビを組み、失踪した少女を捜索するバディ物。
主演ライアン・ゴズリングとラッセル・クロウ。
リーサル・ウェポン』『ラスト・アクション・ヒーロー』脚本、『アイアンマン3』監督脚本のシェーン・ブラックが監督脚本。撮影は『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』『ファンタスティック・ビースト』フィリップ・ルースロ。
この布陣ならそりゃあ間違いなく面白いでしょう。


愚行録
http://gukoroku.jp

貫井徳郎の小説映画化。ポーランド国立映画大学出身の石川慶、長編初監督作。脚本向井康介。キャストは妻夫木聡、満島ひかり、市川由衣、中村倫也など。上手い人が揃っていて良さげ。


一週間フレンズ。
http://ichifure.jp
実写映画版。僕は原作もアニメも全く知らないので何とも言えませんが、「ヒロインが日記を書く」から「主人公ふたりで交換日記する」という設定に変わっているそうで。日記にしろ交換日記にしろ、『50回目のファースト・キス』チックで実写映画にも向いてそうな題材な気はしますが、僕は原作もアニメも全く知らないので何とも言えませんね。


スプリング、ハズ、カム
http://springhascome.xyz

一人娘を生んで母はすぐに他界。二人で暮らしてきた父と娘。娘の大学進学を機に二人は別々に暮らすことになるけれども、父はあまりに素直で良い子に育った娘が心配で、娘は一人暮らしになってしまう父が心配。
小津映画の笠智衆と原節子を思わす関係性。とても良さそう。
監督『あかぼし』吉野竜平。出演、柳家喬太郎、E-girls石井杏奈、『あかぼし』主演の朴璐美。


天使のいる図書館
http://www.toshokan-movie.com

機械的なまでにド真面目な図書館新人司書が、ある老婦人の探し物の手伝いをきっかけに変わっていく。監督『リュウグウノツカイ』ウエダアツシ。出演、実写版『魔女の宅急便』小芝風花、香川京子、横浜流星、森本レオ。小芝風花と香川京子のアンサンブルも、フレーム内の人物の置き方も、すごく良い。これは間違いなく俺好みな映画ですね。


息の跡
http://www.ikinoato.com/

映像作家小森はるかが遂に作った長編。
陸前高田市で「佐藤たね屋」として種苗販売を営みつつ、津波の経験とその後の生活、また陸前高田の歴史や文化などを独学の外国語で書き続けている、佐藤貞一さんのドキュメンタリー。

予告編を見て、監督がユリイカ小津安二郎特集号に寄稿していた文章を思い出しました。
"小津の映画を観るとき、いつも少し気になることがある。あの登場人物たちが口にしている「お嫁さん」とか「戦争」とか「幸せ」という言葉は、私の知っているそれと少し違っていた。(中略)その少し違うというのがずっと咀嚼できずに残っている"
"バイト先の店長とおばちゃんたちはお昼休みによく子どもの頃の話をする。それは小津が映画を撮っていた時と同じ頃の話で、その時にもやっぱり「お嫁さん」とか「戦争」とか「幸せ」という言葉が出てくる。はっきりとあの映画の中にあるものと同じだと思う。私はわからないなりにもおばちゃんたちの口から発するその響きに慣れ親しんできて、あの登場人物たちの声が近づいたような気がする"

映像の人であるゴダールは映画をたくさんの言葉で埋め尽くし、言葉の人であるマルグリット・デュラスは一時期たくさんの映画を監督しました。二人とも、わざと映像と音の情報をずらした、映像と音が戯れるシーンを作る人です。
言葉から想起されるイメージを映像が変えていく。あるいは逆に、映像というイメージを言葉が変えていく。あるいは、言葉のイメージと映像のイメージが合わさる事で、そこに存在しないイメージが浮かび上がる。
1+1が2ではない全く別のものに変わってしまう。映画のそんな瞬間は、とても刺激的です。映画的、と呼ぶにふさわしい興奮があります。

小森監督は、小津映画の「幸せ」と、バイト先のおばちゃんの「幸せ」が、同じものを示しているのに、距離感が違う、と感じ取る人です。映像と音をずらすまでもなく、対象との距離感だけで、イメージは変わってしまうという事に気付いている人です。
息の跡』は、映像と音を編集して作られる「映画」の本質を掴んでいる、映画そのもの、な映画になっていそうな雰囲気があります。見に行ける環境にある人は、是非行って欲しいですね。


劇場版 列車大行進 日本を駆ける列車たち
http://daikoushin.jp

イオンシネマのみで上映される系映画。おこさま向け列車映画はちょくちょくありましたが、大人向けは初めてですね。ナレーション沢城みゆき。みゆきちボイスと列車サウンドを劇場で堪能できるのは良いですね。一日中これを上映している劇場でうとうとしたい。


2/24(金)
ラ・ラ・ランド
http://gaga.ne.jp/lalaland/

セッション』デイミアン・チャゼル監督脚本。ライアン・ゴズリング、エマ・ストーン主演。2016年アメリカ賞レース席巻のミュージカル。出不精の僕ですが、流石にコレは見に行くつもりで事前情報シャットアウトしているので、どんな映画かよく知りません。


トリプルX 再起動
http://www.xandercage.jp/
ヴィン・ディーゼル様主演アクション『トリプルX』待望の続編。エクストリーム・スポーツ要素を取り入れたのが一作目の売りでしたが、今回は、最近の『ワイルド・スピード』シリーズからの影響か、曲者揃いのチーム物になっているようです。

キャストは過去作から続投のヴィン・ディーゼルとサミュエル・L・ジャクソン。
そして新規参入組は『恋する輪廻 オーム・シャンティ・オーム』ディーピカー・パードゥコーン、『シックス・センス』母親役トニ・コレット、『ヴァンパイア・ダイアリーズ』ニーナ・ドブレフ、台湾のクリス・ウー、オーストラリアのルビー・ローズ、サッカー選手のネイマール、そしてトニー・ジャー、さらにドニー・イェン様。
何だか知らんがとにかくよし、という感じで愉快なゴッタ煮キャスティングです。一作目のヒロインであるアーシア・アルジェント様がここに居ないのが本当に残念ですね。二作目の主人公アイス・キューブは一応出てるみたいですが。


2/25(土)
アイヒマンの後継者 ミルグラム博士の恐るべき告発
http://next-eichmann.com

「アイヒマンはじめ多くの戦争犯罪を実行したナチス戦犯たちは、そもそも特殊な人物であったのか。それとも家族の誕生日に花束を贈るような平凡な愛情を持つ普通の市民であっても、一定の条件下では、誰でもあのような残虐行為を犯すものなのか」
それを検証しようと行われたミルグラム実験を描く実録モノ。主演ピーター・サースガード、奥さん役にウィノナ・ライダー。


素晴らしきかな、人生
http://wwws.warnerbros.co.jp/subarashiki-movie/
クリスマス・シーズンのニュー・ヨーク。最愛の人を失い、失意のどん底にいる主人公の前に、三人の奇妙な舞台俳優が現れる。彼らとの出会いが主人公を変えていく。
原題は "Collateral Beauty" ですが、何とも恐れ知らずな邦題つけましたね。お話的には『素晴らしき哉、人生!』というよりクリスマス・キャロルっぽい感じがあります。
出演ウィル・スミス、エドワード・ノートン、キーラ・ナイトレイ、ナオミ・ハリス、ケイト・ウィンスレット、ヘレン・ミレンと恐ろしいメンツ。
監督『プラダを着た悪魔』デヴィッド・フランケル。撮影マリス・アルベルチ。この人、トッド・ソロンズ『ハピネス』、ダーレン・アロノフスキー『レスラー』、シャマラン『ヴィジット』、ライアン・クーグラー『クリード』と、錚々たるタイトルの撮影してますね。


彼らが本気で編むときは、
http://kareamu.com/

荻上直子監督脚本。育児放棄された少女と、その叔父さんと、叔父さんのトランスジェンダーな恋人の共同生活なお話。
僕は荻上直子作品の閉鎖的な感じは好きですが、わざとらしい無機質さがどうにも鼻をついて、基本ニガテです。しかし今回はその辺が控えめで、僕でも楽しめそうな予感。
男の体に生まれたトランスジェンダー役の生田斗真がハマってますね。この人、ホント何やっても上手いなー。叔父さん役に桐谷健太。共演にミムラ、小池栄子、門脇麦、田中美佐子。


バンコクナイツ
http://www.bangkok-nites.asia/

空族の最新作。監督『サウダージ』富田克也。間違いなく面白いでしょうが、ソフト化しないでしょうから僕はまず見る事が出来ないと思うと悲しい。お近くで上映しているなら是非見るべきですよ。


真白の恋
http://mashironokoi.com

富山に暮らす軽度の知的障害を持つ少女と、東京から来たカメラマンの恋。
地元出身監督を迎えたご当地映画は最近山ほど作られていますが、こちらはかなり良さそうな。
[ 2017/01/31 03:18 ] 映画 | TB(0) | CM(0)

2017年2月公開映画チェック、前半


この時期の宅配便はもれなくクール便状態で届く事に北海道を感じる今日この頃。ひえひえで届いたC91新刊の中ではコチラが特に良かったです。

Grand Hotel765! サークル:シロマトグラフィー

タイトル通りグランドホテル形式な765プロ本。
人数の多い765プロのアイドルたちそれぞれのエピソードを描きながら、全く散漫にならない構成力が見事です。律子と数人のキャラが劇中で通底させている話題のお陰でビシッと決まるラストには感嘆しました。お話の最後を飾る〇〇〇とアイドルの関係性は、映画の方の『グランド・ホテル』で最後を飾る登場人物であるライオネル・バリモアとジョーン・クロフォードの関係性と通じるところがありますね。



さて、2月公開映画です。良さそうな邦画が多いですね。
深夜アニメの劇場版も多めですが、僕はその辺あまり明るくないので省いています。

新作公開監督は、ティム・バートン、ロバート・ゼメキス、ゲイリー・ロス、シェーン・ブラック、ジャン=マルク・バレ、デイミアン・チャゼル、トム・ティクバ、グザヴィエ・ドラン、ジャンフランコ・ロージ、万田邦敏、中田秀夫、矢口史靖、荻上直子、富田克也、月川翔、ウエダアツシ、吉野竜平、山岸聖太、そして小森はるか。

http://eiga.com/coming/


2/3(金)
ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち
http://www.foxmovies-jp.com/staypeculiar/

空中浮遊する少女、ふたくち女の子、体内に蜂を飼う少年、透明人間、などなど特殊能力を持った子供たちが住む屋敷での奇妙な生活。そして、彼らを襲う外敵との戦い。ジュヴナイル版『X-MEN ファースト・ジェネレーション』って感じで楽しそう。

監督はティム・バートン。撮影は『ダーク・シャドウ』『ビッグ・アイズ』から引き続きブリュノ・デルボネル。脚本は『X-MEN ファースト・ジェネレーション』『キングスマン』ジェーン・ゴールドマン。
キャストはエイサ・バターフィールド、エヴァ・グリーン、テレンス・スタンプ、ジュディ・デンチ、サミュエル・L・ジャクソン。


咲 Saki
http://www.saki-project.jp/
実写劇場版。
監督は麻雀漫画原作モノを多く手がけている小沼雄一。撮影は井口昇監督作や河崎実監督の『まいっちんぐマチコ先生』シリーズなどの長野泰隆。
キャストは、女性アイドルやモデルを多数集めているので、今後演技で活躍する人を青田買いするのも楽しそうです。主人公チームに『たまこちゃんとコックボー』廣田あいか、そして『1/11』古畑星夏と、誇張の効いたキャラも平気で演じられる芸達者な人を起用している辺り、キャスティングかなり良さそう。


虐殺器官
http://project-itoh.com
伊藤計劃原作アニメ映画化シリーズ「Project Itoh」の一作。当初は2015年10月に上映される予定でしたが、随分伸びましたね。


2/4(土)
ニュートン・ナイト 自由の旗をかかげた男
http://newtonknight.jp

南北戦争時代のアメリカ南部で、貧しい白人脱走兵と黒人奴隷500人の反乱軍を率いて南軍に立ち向かった男、ニュートン・ナイトの物語。南北戦争真っ只中で、そんな事をしていた人がいるんですねぇ。ベタベタな泣かせに走らなければ、かなり好みの映画になるかもしれない。
監督脚本制作は『カラー・オブ・ハート』『シービスケット』『ハンガーゲーム』ゲイリー・ロス。主演はマシュー・マコノヒー。


キックボクサー リジェネレーション
http://aoyama-theater.jp/feature/mitaiken2017
ジャン=クロード・ヴァン・ダムの出世作『キックボクサー』リメイク。
あらすじはオリジナルと同じで、ヴァン・ダムは師匠役で登場。主人公は『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』チームの筋肉役ドラックスを演じたWWEスーパースターのデビッド・バウティスタ。監督『ブルークラッシュ』『ネイビーシールズ:チーム6』ジョン・ストックウェル。


男と女
http://mw-movie.com

シークレット・サンシャイン』『ハウスメイド』チョン・ドヨンと『トガニ』コン・ユが共演する恋愛モノ。絵になるカップリングで、フィンランドロケ。とても良さそうです。カウリスマキ監督でよく憮然とした表情をしている人、カティ・オウティネンも出演。


君と100回目の恋
http://kimi100.com/
デート映画。事故が起こってしまう運命を変えるために何度もタイムリープするよ映画。監督は『携帯彼氏/彼女+』『黒崎くんの言いなりになんてならない』の月川翔。監督脚本作『携帯彼氏+』はタイトにまとまったティーン向けホラーの良作だったので、またホラーやって欲しいけど、無理かなー。『学校の怪談』とか、この人が監督脚本したら面白くなりそうな気がするんだけど。


傷だらけの悪魔
http://kizuaku.jp/
星野源や乃木坂46のMVなどを手がける山岸聖太監督編集。

これなんか実に「山岸聖太」なテイストの仕事ですね。

ファミ通WaveDVD読者だった僕としては、星野源や乃木坂仕事より、ファミ通WAVE一連の仕事の凄まじさが、やはり忘れられません。

ビデオゲーム紹介雑誌であるはずのファミ通WAVEが、山岸聖太の才気に導かれるまま、ルパン小島という一人の編集者がどこまでも堕ちていく様を記録する一大ドキュメンタリーへと変容していったのは、とてもスリリングでした。

めちゃイケ片岡飛鳥や、水どう藤村Dのスタイルに悪意を十割増しした追い詰め方で対象者を捉え、先鋭的なカッティングやテロップでさらに悪意を増長させる。自分が面白いと思う事を徹底し、時には非情にもなれる資質は、原一男や森達也といったドキュメンタリー監督に通じているように思います。
ただ、そういったドキュメンタリー監督と違い、非情さや冷静さを最終的に「笑い」に還元できるサービス精神があるので、劇映画にも向いてそう。


LIVE FOR TODAY 天龍源一郎
http://tenryu-genichiro.jp/movie/
天龍源一郎の引退ロードを追ったドキュメンタリー。ナレーション染谷将太。


A FAT WRECK:ア・ファット・レック
https://www.facebook.com/AFatWreckJapan/
NOFXのファット・マイクと、当時の妻エリンが作ったインディー・レーベル、ファット・レック・コーズのドキュメンタリー。


2/10(金)
マリアンヌ
http://marianne-movie.jp/

ロバート・ゼメキス監督、『イースタン・プロミス』『ハミングバード』『オン・ザ・ハイウェイ』スティーヴン・ナイト脚本、ブラッド・ピットとマリオン・コティヤール主演。愛する妻はスパイかもしれない、というサスペンス&ロマンスなお話。

スティーヴン・ナイトが監督脚本した『ハミングバード』は、現代を舞台にしたステイサム主演のリベンジ物でありながら、本質的にはステイサム様が「人生で一番ホレた女に、オレ史上最高のスマイルを贈るよ。そして、この最高の瞬間を永遠に美しく留めるために、二人いっしょに生きるより、離ればなれになる事を選ぶよ」という極めてロマンチックな、ステイサム版『マディソン郡の橋』な映画でした。

そんなスティーヴン・ナイトが脚本でこの題材。しかも疑惑の妻はマリオン・コティヤール。ロマン炸裂の良作になりそうな気がします。


王様のためのホログラム
http://hologram-movie.jp
サウジアラビアの国王に最先端の映像装置「3Dホログラム」をプレゼンすべく現地に向かうも、オフィスは砂漠のテントだし、肝心の国王にはいつ会えるか見当もつかないよトホホ、、、でも人生なんとかなるさ系映画。
トム・ハンクス主演。『ラン・ローラ・ラン』『ザ・バンク』『クラウドアトラス』トム・ティクバ監督脚本音楽。この題材には意外な監督チョイスな感じ。


2/11(土)
グリーンルーム
http://www.transformer.co.jp/m/greenroom/

売れないパンク・バンドがライブしに来た会場はネオナチの巣窟。バンドはそこで殺人現場を目撃してしまい、楽屋に閉じ込められ命が危うい事に。どうにか殺らなきゃ、殺られる!という大変楽しそうなお話。
キャストに、昨年若くして亡くなった『オッド・トーマス』アントン・イェルチン、最近テレンス・マリックやボグダノヴィッチといった巨匠の作品に次々と出演しているイモージェン・プーツ、そして『X-MEN』プロフェッサーX役のパトリック・スチュワート。
監督脚本『ブルー・リベンジ』ジェレミー・ソルニエ。撮影のショーン・ポーターはマイク・ミルズ監督最新作もやっていて、これから注目されそうな人。


世界でいちばんのイチゴミルクのつくり方
http://www.sekaideichiban.com

幼稚園を脱走した6人の四歳児が、おじいちゃんおばあちゃんを老人ホームから救出すべく奮闘する、スラップスティックなキッズ・ムービー。

平凡な村が、その平凡さゆえにマーケット・リサーチのためのモニター村にされてしまう。しかし村の老人たちは、さまざまな分野で初めてのことを成し遂げてきた奇人がいっぱい居て、モニター村には不適格なので老人ホームに入れられてしまう。藤子F先生のSF短編を思わす設定が良いですね。
モニター村を脱却すれば老人たちは解放されるだろうと、子供達が村の中で世界新記録を出して、特別な村にしようと奮闘する、ってプロットもワクワクもんです。

公式サイトのレビューは宇田川幸洋先生が寄稿。まんまと映画が見たくなる、素敵な文章です。これは絶対に見たい映画だなぁ。


たかが世界の終わり
http://gaga.ne.jp/sekainoowari-xdolan/

グザヴィエ・ドラン監督。第69回カンヌ国際映画祭グランプリ受賞作。
自分の死期が近いことを伝えるため12年ぶりに帰郷した若手作家の苦悩と家族の葛藤。
キャストは、ギャスパー・ウリエル、レア・セドゥ、マリオン・コティヤール、ヴァンサン・カッセル、ナタリー・バイ。グザヴィエ・ドラン作品でこんなにメジャーな役者が並んでいるのは初めてですかね。


サバイバルファミリー
http://www.survivalfamily.jp

矢口史靖監督脚本。小日向文世、深津絵里主演。ある日突然、地球から電気がなくなった。という世界をサバイヴする、東京の一つの家族のお話。


SYNCHRONIZER
https://www.facebook.com/synchronizer.movie/
万田邦敏監督作。自主配給かな。見逃すと次に見る機会を得るのが難しくなるかもしれません。


ホワイトリリー
http://www.nikkatsu-romanporno.com/reboot/whitelily/
日活ロマンポルノ、リブートシリーズ。中田秀夫監督、加藤淳也&三宅隆太脚本。『クロユリ団地』『劇場霊』と同じ布陣。中田監督は日活で助監督していた人ですが、ロマンポルノは初めてなんですね。


青鬼 THE ANIMATION
http://aooni-anime.com/movie/

誰が期待しているのか謎な『青鬼』劇場版。今回はアニメーション作品。『てさぐれ!部活もの』みたいな質感で、かなりのヤバさが漂う物件です。メインスタッフは、脚本に我孫子武丸、キャラクター原案に坂井久太、声優陣に逢坂良太や喜多村英梨と、決して悪くない布陣ですが。
実写版『青鬼』は、配給のAMGエンタテインメントが自社専門学校の関係者や生徒に仕事を提供する企画、という側面はありましたが、その分バジェットもそれなりに提供され、役者やVFXは割と充実してたと思うんですよね。内容はともかく。
今回のアニメ版はAMG絡んでないようで、それが吉と出るか凶と出るか、ほんのちょっとだけ気になります。


海は燃えている イタリア最南端の小さな島
http://www.bitters.co.jp/umi/

イタリア最南端にある小さな島、ランペドゥーサ島。そこは地中海を命がけで渡って来た難民の玄関口でもあった。島の人口約5500人に対して、5万人を超える難民や移民が島に来ているが、島の人々にはそれぞれの生活があり、難民と交わることは無い。そんな中、島に一人の医師だけが、島民の診察と、難民の検診や検死をして、両者を見ている。
今現在、こんなにも興味深いドキュメンタリーの題材は他にないでしょう。監督は『ローマ環状線、めぐりゆく人生たち』ジャンフランコ・ロージ。
[ 2017/01/26 22:17 ] 映画 | TB(0) | CM(0)
プロフィール
Author:かりふら